第1314回2024年12月27日配信
家族と信仰
代々信仰を伝えていくことの大切さを、教祖はしばしばお説き下さる。ある少年の怪我をめぐる逸話から。
家族と信仰
天理教では、親から子、子から孫へと代々信仰を伝えていくことの大切さを教えられています。神様は次のようなお言葉で、親と子の関係性についてご教示くださいます。
「人間という、ただ一代切りと思たら、頼り無い。人間一代切りとは必ず思うな。そこで一つ理がある。皆生まれ更わり、出更わりという理聞き分け。親が子となり子が親となり、どんな事もほんになあ、よく似いたるか/\」(M34・9・23)
親と子は生まれ替わりを繰り返す中で、恩の返し合いをする関係としてつながっているのだと教えられます。
教祖・中山みき様「おやさま」をめぐって、こんな逸話が残されています。
明治十年夏、当時九歳の矢追楢蔵さんは、川遊びをしているときに、男性器を蛭にかまれました。二、三日経つと大きくはれてきて、場所が場所だけに両親も心配して、医者にかかり加持祈祷もするなど、色々と手を尽くしましたが、一向に回復の兆しが見えません。
その頃、近所に教祖の教えを知る者があり、元来信心家であった楢蔵さんの祖母のことさんが、勧められて信仰を始めました。ところが、父親の惣五郎さんは、信心する者を笑っていたくらいで、まったく相手にしようとしません。
すると、ことさんは息子の惣五郎さんに対して、「わたしの還暦祝をやめるか、信心するか。どちらかにしてもらいたい」とまで言いました。当時の還暦祝いといえば、近所や親戚中に披露しなければならない大切な行事で、戸主の責任に関わることです。惣五郎さんはその覚悟の上に兜を脱ぎ、ようやく信心するようになりました。
そこで、ことさんが楢蔵さんを連れて教祖にお目にかかったところ、教祖から、
「家のしん、しんのところに悩み。心次第で結構になるで」
とのお言葉がありました。
それからも、ことさんと母親のなかさんが三日ごとに交替で、楢蔵さんを連れてお屋敷へお参りしたのですが、なかなかご守護を頂くことができません。
そんなある日、ことさんは信心の先輩に、「『男の子は、父親付きで』と、お聞かせ下さる。一度、惣五郎さんが連れて詣りなされ」と諭されます。家へ戻ったことさんは、さっそく惣五郎さんにこのことを話し、「ぜひお詣りしておくれ」と頼みます。
そこでようやく惣五郎さんは、楢蔵さんを連れて初めておぢばへ帰りました。するとどうでしょう、三日目の朝には、楢蔵さんはすっきりご守護を頂いたのです。(教祖伝逸話篇 57「男の子は、父親付きで」)
教祖は、「家のしん、しんのところに悩み」とのお言葉で、家族を支える中心として、父親の惣五郎さんに心の入れ替えを促しておられます。息子の楢蔵さんの怪我を通して、信心に励み、父親と息子が、さらには家族一同が深く絆を結ぶようにと、お諭しくだされたのです。
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