第1396回2026年7月24日配信
先が見えんのや
夫のお人好しを頼りなく思い、生家へ帰ろうと決心した中山コヨシさん。途端に目が見えなくなってしまった。
先が見えんのや
教祖のひと言のお諭しによって身上をご守護頂いたという例は、枚挙に暇がありません。
中山コヨシさんが、夫重吉さんと結婚して間もないある日、近所でお祝い事があって、大きな重箱に一杯、約一升のお赤飯を頂戴しました。折から空腹を抱えて田んぼから帰ってきた重吉さんは、この大好物をまるで子供のように喜んで、一人でペロリと平らげてしまいました。
前々から夫があまりにお人好しなのを頼りなく思っていたコヨシさんは、これを見て浅ましく、情けない気持ちになりました。
「こんなに大飯食らいで大した働きもない人と連れ添っていたのでは、行く末が案じられる。いっそ今のうちに別れてしまおう」と思い、生家へ帰ろうと決心した途端、急にあたりが真っ暗になり、何も見えなくなってしまったのです。
折よく家へ立ち寄ってきた飯降さとさんの声を聞きつけたコヨシさんが、「おさとさん。えらい俄かに真っ暗になりましたが、お日様がどうかなさったのでしょうか」と尋ねました。「何を言っているのや、こんなにカンカンに照っているのに」と、おかしな挨拶に驚いたおさとさんが駆け寄って見た時には、コヨシさんの両眼は完全に光を失っていました。
「これ、コヨシさん。いったいどうしたのや。目の玉の色が、まるっきり変わってしもうているがな」
そうしておさとさんは、一目散に教祖のところへ駆けつけ、ことの次第を申し上げました。すると教祖は、「コヨシはなあ、先が見えんのや。そこを、よう諭してやっておくれ」と、お言葉を下さいました。
おさとさんから教祖のお言葉を承ったコヨシさんは、たった今したばかりの夫に対する先案じや不足を、泣けるだけ泣いてお詫び申し上げました。すると、急に目の前にいるおさとさんの顔がぼんやりと目に映って来たのです。こうして一瞬にして、元通りにはっきりと見えるようになるまでご守護頂いたのです。(教祖伝逸話篇 125「先が見えんのや」)
お言葉に、
「成らん中たんのう、治められん処から治めるは、真実誠と言う。前生いんねんのさんげとも言う」(M30・7・14)
とあります。
たんのうとは、どのような困難な事情が起こってこようとも、常に自分の心遣いを省みて、いかなる事も親神様の思惑であると悟り、心を倒さずに喜び勇んで歩む。そのような通り方を言います。
私たちはうっかりすると、つい不平不満や先案じにとらわれやすく、喜びから離れてしまいがちなものです。どのような中も、喜びの心一つに通りたいものです。
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