第1214回2023年1月21日・22日放送
水の味
「結構は天のあたゑやで」。物質に恵まれたこの時代、あらためて神様の「与え」に心を向けて通りたい。
おさしづ春秋『水の味』
心に結構という理を受け取るのや。
結構は天のあたゑやで。 (M35・7・20)
冒険家の植村直己さんが厳冬のアラスカ・マッキンリー山の頂上を極め、下山途中に消息を絶ってからもうずいぶんになるが、「物資に恵まれている中では人間本来のものは失われている」という植村さんの言葉は死んではいないように思う。
カメラマン池間哲郎さんの著書に、フィリピンの広大なゴミ捨て場に群がる子どもたちを取材したものがある。吐き気をもよおす悪臭の中、子どもたちの手や足は真っ黒に汚れ、皮がめくれて血だらけになりながらも、一心にただ同然で売買される資源ゴミを拾って暮らしていた。
その中の一人、十歳ぐらいの少女に、
「あなたの夢はなんですか」
と聞くと、少女はニコニコしながら、
「私の夢は大人になるまで生きることです」
と答えた。池間さんは、子どもたちが皆、笑顔だったからよけいにこたえた、と記している。
かたや、物資に恵まれながら、気に入らないことがあるとすぐに不機嫌になり、キレやすい子どもがわが国では増えているという。同じ土俵の上の話ではないが、貧困の中の明るい笑顔が真実だとすれば、残念ながら、恵まれすぎて不機嫌な子どもたちの不幸のほうが深刻なのかもしれない。
天理教の教祖は、食事にこと欠くなか、わが子に「水を飲めば水の味がする。親神様が結構にお与え下されてある」(「教祖伝」40頁)と、どんな境遇にあっても、結構に健康をお与えくだされてある、その「与え」に心を向けることを教えられている。
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