(天理教の時間)
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第1406回2026年10月2日配信

9年目のランドセル

yamasaki
山﨑 石根

文:山﨑 石根

第1231回

突然のがん宣告

50代の男性に突然のがん宣告。真面目に働いている自分がなぜ?と悶々とする中、彼は天理教の教えにふれる。

突然のがん宣告

 

会社員として働く五十代の男性Aさん。仕事も順調、家庭にも恵まれ順風満帆の人生かと思いきや、突然のがん宣告を受けました。病気にかかると、いやでも、なぜ自分はこんなに苦しまなければならないのかと考えるようになります。Aさんの問題の核心は、世間では、いい加減で欲の皮のつっぱった連中が健康に暮らしているのに、酒も飲まず道楽もせず、真面目に働いている自分が苦しむのはおかしいじゃないか、というものです。

闘病生活が一年を過ぎようとした頃、Aさんは友人の勧めで天理教の教えにふれます。「人をたすけて我が身たすかる」「病の元は心から」など、初めて聞く話は新鮮で、Aさんは人生観が変わるほどの衝撃を受けました。そして、自分の今までの生き方や考え方、周囲の人々との関係を振り返り、こんな考えに及びます。

一般に、真面目なのは善いことであり、それは報いられるべきであると思われているが、果たしてそうか。真面目な人間は、いちいち口には出さないが、周囲の不真面目な人間に対して不快感を持ち、彼らを責める傾向が強い。これでは人をたすけるどころか、楽しくさせることもできない。

対して、自分はいい加減だと思っている人間は、少なくとも人を責めることはしない。その資格はないと分かっているからだ。結果的に、不真面目な人間のほうが、人を楽しませることが多いのではないか。人を喜ばせてこそ、神様もお喜びくださる。すなわち、真面目イコール善、不真面目イコール悪、という単純なものではないのだ。自分は真面目で善であると思っていたのは、まったくもって一人よがりであった―。

こうして、人を公平に評価できるようになると、病気に対する考え方にも変化が生じます。Aさんは、身体の中に居座り続けるがん細胞に対し、こんな風に語りかけるようになりました。

「がん細胞さん、君が強いことは本当によく分かった。僕は今まで君を絶対悪と見なし、徹底的に退治しようと努力してきた。しかし、それは無理なことがよく分かった。そこで相談だが、この辺でお互いが平和に共存するための道を探ってみようじゃないか。今日限り、僕は君を退治しようなどとは考えないことにした。君のことで気を煩わせるより、神様の思いに添うように心遣いを正して、みんなと楽しく暮らす道を歩みたいんだ。本音を言えば、君には僕の身体から一刻も早く出て行ってもらいたいが、よろしい、自由にいてもらって結構だ。しかし、これ以上君が好き放題暴れると、僕は死んでしまう。僕が死ねば君も死ぬわけだが、それでは共倒れじゃないか。その辺をよく考えてくれよ」

それからも苦しい治療の日々は続きましたが、Aさんの心はいつも晴れ晴れ、家族や周囲の人々にも優しくなり、生かされている感謝の思いを胸に、日々過ごすようになりました。神様の真実の教えにふれ、心の向きを切り替えることができたのです。

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