第1130回2021年6月12日・13日放送
地球環境と熱中症
地球温暖化に対する取り組みは遅々として進まない。豊かさ追求一辺倒ではなく、神様の与えを活かす暮らし方を。
地球環境と熱中症
熱中症は今に始まった症状ではありませんが、この言葉が一般に認知されるようになったのは割と最近のことです。その危険性に対する認識は、異常気象が年々進むにつれて一般に広がっていきました。地球規模の温暖化と、身近な日常生活における熱中症は、遠いようで近い関係にあると言えます。
急激な気温の変化に、私たちの身体はすぐには適応できません。これは現代の都市環境にも共通していることで、ゲリラ豪雨や強い台風の襲来にインフラが対応できず、混乱を招きます。人間の身体の弱さと、高度に複雑化した社会の脆さが一気に浮き彫りになってしまうのです。
地球規模の温暖化に対しては、国際社会全体での取り組みが必要です。しかし、すべての国が足並みを揃えるのは容易ではありません。環境に配慮し、CO2削減などに積極的に取り組んでいる国もありますが、経済を優先させる国もあり、また、エネルギーや資源を使い、これから豊かな社会を目指そうとする国もあります。
かつて、「世界でいちばん貧しい大統領」と言われた、ウルグアイの元大統領ホセ・ムヒカさんの国連でのスピーチが大きな反響を呼びました。それは、エネルギーや物を大量消費・大量廃棄することによって、幸福や豊かさを追求する現代人に警鐘を鳴らす内容でした。
彼は言います。「貧しい人とは、少ししかものを持っていない人ではなく、もっともっとと、いくらあっても満足しない人のことだ」と。
天理教教祖・中山みき様「おやさま」は、
よくにきりないどろみづや
こゝろすみきれごくらくや(「みかぐらうた」十下り目 4)
と教えられています。
エネルギーや物を大量消費し、豊かさを際限なく追求するような生き方は、慎みをもって神様の与えを生かしていく暮らし方に逆行するものと言わざるを得ません。
教祖は、また、
「世界は、この葡萄のようになあ、皆、丸い心で、つながり合うて行くのやで」(教祖伝逸話篇135 「皆丸い心で」)
とも教えられました。
地球環境の分野で言われる「持続可能な社会」の実現には、私たち人類が、神様を親と仰ぐ「一れつきょうだい」であるとの自覚のもとに、慎みの心を持って互いにたすけ合うことが必要なのです。