第1380回2026年4月3日配信
見えない世界を見る
「アサガオの種をまいたら芽が出る」当然の結果である。しかし、これは見える世界での話。見えない所では…。
心に吹く風「見えない世界を見る」
花四月。野原もすっかり春の陽気に包まれるようになりました。小鳥のさえずりの中で草木の芽もすくすくと伸び、新緑が目に鮮やかです。新しく小学校に通い始めた近所の子供たちも、大きめのランドセルを嬉しそうに背負って通学していきます。
うちの長女がまだ幼かったころ、一つの質問をしてみました。
「アサガオの種をまいたら何が出る?」
長女は、なぜそんなことを聞くのだろうと、不思議そうな顔で「芽が出る」と即座に答えました。
「本当に芽が出る?」
私はもう一度聞き直しました。そうしたら、なぞなぞかと思ったのでしょう。「答えは何?」と聞いてきました。
確かに「芽が出る」で間違いではありません。でも、それは見える世界での話。実は見えないところで「根」が先に出ています。そのことを娘に話したら、「お父さん、ずるい」と言われてしまいました。
しかし、見えないところで根が先に出て、しっかり茎を支えるから、芽は倒れずに伸びていくことができます。それに、水分や栄養分を根が吸収するからこそ、芽も大きく成長できるのです。
われわれの目に普通に見えることは、実は見えないものに支えられている。そのことを教えたくて、娘に質問したのでした。
一事が万事。どうもこの世の中、見える世界よりも見えない世界のほうが大切なことが多いような気がします。空気は見えないけれど、空気がなかったら私たちは生きていけません。電気もそうです。
実はこの見えない世界も、ちょっとした工夫と努力で見えるようになります。アサガオの場合、どうすれば根が出るのを見ることができるでしょうか。たとえば十粒の種を並べてまいて、一日一個ずつ掘り起こしてみたらどうでしょう。もっと工夫する人は、透明な水槽に土を入れ、その端っこに種をまいて、黒い布で覆って毎日観察するかもしれません。いずれにしても、ちょっとした工夫と努力で見えない世界が見えてきます。
空気を見るためには、煙を流してやります。そうすれば、空気は「気流」という形で見えるようになります。電気を見るために電流計を通してやれば、電気は「針の動き」という形で見えるようになります。
もう少し、話を広げてみましょう。もう一つ、私たちの目には見えないけれど大切なものがあります。それは人の心です。見えない心を大切にしなかったら、人間関係はうまくいきません。
私たちの生活を見渡してみても、見えないところで心を尽くしてくれている人のおかげで、何不自由なく生活できていることは多いと思います。
水道の蛇口をひねれば水が出る。コンセントにプラグを挿せば電気が流れる。当たり前のように思いますが、その陰でどれだけ多くの人が、人の幸せを願って仕事をしていることでしょう。見えない世界に支えられていることが分かれば分かるほど、感謝する対象が増えていきます。逆に、そのことに気づかないまま過ごせば過ごすほど、当たり前だと思い込み、感謝の量は減っていくのではないでしょうか。
そして、その心という見えないものに気づくにも、アサガオの根や空気を見るのと同じように、ちょっとした工夫と努力が必要なのです。それは、心を落ち着けて想像力を働かせてみることです。なぜ年中、色とりどりの果物がスーパーに並んでいるのだろう? なぜ注文した商品が時間通りに届くのだろう? 想像力を働かせれば、そこにはたくさんの真実の心が、見えないところで尽くされていることに気づくのです。
耳を澄ませば、聞こえなかった音も聞こえるようになる。それと同じように、心を澄ませば、気づかなかったたくさんのことに気づくようになります。
心を澄ます。人の真心が分かる。見えない世界が見えてくる。感謝の量が増える。喜びが増え幸せになる。これらは一本の線上に並ぶ、幸せへの案内標識です。
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