第1384回2026年5月1日配信
〝結果〟よりも〝経過〟が大切
なぜみんな野球やサッカーの試合中継に熱狂するのか。それは〝結果〟よりも〝経過〟が大切だと知っているからだ。
心に吹く風「〝結果〟よりも〝経過〟が大切」
私が住む熊本では最近、小中学校の運動会を五月に行うところが増えてきました。全国の公立小学校で、春に開催する学校の数が、秋の開催校を上回っているというデータもあります。入学したての一年生には少しばかり負担かもしれませんが、熱中症対策に加えて、競技を通じて新学年のクラスの団結が強まるという報告もあり、この傾向は今後も続いていくと思います。
運動会で考えたことがあります。「あれは体育の大会だから、クレームが出ないのではないか」ということです。
ご存じの通り、学校教育には「知育、徳育、体育」という三つの基本的な指針があります。たとえば、同じことを「知育」でやったらどうでしょう。
朝から全校児童が校庭に集められ、入場行進をする。家族が弁当を持ち込み、シートを敷いて声援を送る。本部テントに来賓を招いて席を作る。賑やかな音楽を流しながら、「せーの」で全員が〝計算ドリル〟や〝漢字の書き取り〟をして、一等賞の子をみんなで褒めたたえる―。こんなことをやったら、間違いなく保護者から「なんということを…」とクレームが来るでしょう。
「知育」ではだめで「体育」だから許される大会。こういう見方をしてみたら、また違った風景が見えてきます。なかには運動が苦手で、みんなが見守る前で一番最後を走るのが嫌な子だって、間違いなくいるはずなのです。
私はかつて、子供が通う小学校のPTA会長をしていたとき、運動会の開会式で、こんなあいさつをしました。
「おはようございます。待ちに待った運動会、楽しみにしていた人もいるでしょう。でも、かけっこはちょっと苦手だな、という人もいると思います。
ところで、みんな〝名探偵コナン〟って知っていますか? 見た目は小学生の子供が、次々と難しい事件を解決し、犯人を見つけていく。アニメだけどすごいなって思います。でもあれ、最初から犯人が分かっていたら面白いですか? また、野球やサッカーの試合をテレビで見ますよね。あれは、結果だけ分かればいいのなら、なにも試合の中継を見なくても、あとでニュースを見ればいいですよね。なんで、あんなにテレビの試合に熱中するのでしょう。
実はみんな、〝結果〟よりも、どうしてそうなったかという〝経過〟が大切だと知っているのです。だから、その経過に熱中するんです。
いいですか。今日の運動会では勝つ人、負ける人が出ます。でも、その結果よりも、もっと大切なことがある。それは、その結果が出るまでに、自分が、また自分のチームが、どれだけ頑張ったかという経過です。昨日の練習よりも、前を行く人との差をちょっとでも縮められたら、そのときは自分に大きな拍手を送ってくださいね」
同じことは大人の私たちにも言えると思います。現代は「勝ち組」と「負け組」に分かれ、結果を出さなければ生き抜けない世の中だといわれています。しかし、本当に大切なのは、〝結果〟として失敗しないことよりも、その結果が出るまでの〝経過〟です。負けない人間、失敗しない人間などいません。しかし、その失敗から何かを学ばないと、次も同じところで失敗を繰り返してしまいます。
実は、テレビドラマに出てくる女医さんではありませんが、「失敗しない」秘訣があります。それは、失敗を失敗で終わらせないこと。失敗した段階では「まだ終わっていない」と思うことです。その失敗から多くを学び、それが次の成功につながったとしたら、その失敗は、成功への〝経過〟にすぎません。
神様は、可愛いわが子である人間に、時には病気や悩み事など、苦しい思いをさせられることがあります。しかし、それは本当の幸せへ導かれる〝経過〟なのです。それを信じて、神様の思いに気づき続ける心を保ちたいものです。
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