(天理教の時間)
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第1279回2024年4月26日配信

欲しい愛情のかたち

宇田まゆみ
宇田 まゆみ

文:宇田 まゆみ

第1129回

百十五才定命

寿命は年々伸び、百才以上の高齢者が八万人を超えた今、「百十五才定命」とのお言葉をどう受け止めたら良いか。

百十五才定命

 

時折、百十五才を超える国内最高齢の方のニュースを耳にしますが、天理教教祖・中山みき様「おやさま」の次のようなお言葉があります。

 しんぢつの心しだいのこのたすけ
 やますしなずによハりなきよふ(「おふでさき」三 99)

 このたすけ百十五才ぢよみよと
 さだめつけたい神の一ぢよ(「おふでさき」三 100)

人間の身体は神様からの借り物であると教えられていますので、いわば百十五才定命とは、お借りしている身体の借用期限であると言えるでしょう。私たちはいつの日か、借りている身体をお返ししなければならないのです。

しかし人間は、それで終わりではありません。古い着物を脱いで新しい着物に着替えるように、また新たな身体をお借りして生まれ替わってくるのだと教えられています。

国内の百才以上の高齢者は今や八万人を超えています。このような長寿の要因としては、医療をはじめとする生活環境の充実が挙げられますが、信仰的に言えば、世の人々の心のありようが、神様の思召しに少しずつ近づいている姿ではないかと思案することもできます。

その一方で、自殺者の数は年間二万人を超えています。自殺するほどの苦悩は、到底本人にしか分かりませんが、百十五年という神様から与えられた長い年月を考えれば、心次第でまだまだ先の展開が待っていたかもしれないのに、という思いを禁じ得ません。

タレントのAさんは、三十歳を迎える頃に大きな壁にぶつかり、先々の身の処し方に悩んでいました。しかし、身体を鍛え直そうと始めたボクシングを通じて、あるとき自分の身体が神様から借りているもので、いつかは必ず返すものなのだと突然悟ったといいます。

そして、いつか返すものなら、貸し主である神様に喜んでもらえるような一生を送り、死を迎える時、神様にひと言褒めてもらいたい。そう人生の目標を定めて毎日を過ごすようになったのです。すると、それまで傲慢だった自分の態度が改まり、周囲との関係も自然良好に向かい、再び人生が明るく開けていったということです。

Aさんに特別な信仰はありませんが、天の理にかなった生き方をすれば、人生はおのずと良い方向へ向かうということではないでしょうか。

神様は単に、身体の借用期限が百十五才であると示されたのではなく、この世に生を受けた私たち人類に共通する人生の目標をお示しくださったのではないかと思うのです。

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