第1093回2020年9月26日・27日放送
むごい言葉
子育てや職場などで使いがちな、上から抑えつける「むごい心」。教祖は「優しき心」にとお諭しくださる。
むごい言葉
天理教で朝夕のおつとめに唱える「みかぐらうた」の中には、次のような「むごい(酷い)」という表現が出てきます。
むごいこゝろをうちわすれ
やさしきこゝろになりてこい
(五下り目 6)
むごいことばをだしたるも
はやくたすけをいそぐから
(十下り目 6)
人の気持ちを抑えつけるような「むごい心」をすっかり忘れて、相手を包み込むような「優しい心」になるようにと教えられています。
このことは、人を育てる場面においては特に重要なことでしょう。子育てにせよ職場での人材育成にせよ、一生懸命に働きかけても、なかなか思うように反応を得れらないことがあります。そんな時、ついイライラして相手の成人の鈍さに不足をしたり、相手が変わらないことに腹を立てて、上から抑えつけるような「むごい心」を使いがちです。
神様のお言葉に
「子が満足して親と言う。どんな事も、成らん処育てるが親の役、親が腹を立てゝはどうもならん」(おさしづ M31・11・11)
とあります。
親の役割を担う者は、どんなことがあっても腹を立てず、相手に満足を与えることを心掛けて通るようにと教えられます。ただし、それは決して相手を甘やかし、言いなりになることではありません。温かく優しい心を抱えて通りながらも、我が子や相手がたすかるために必要であれば、たとえそれが「むごいことば」、厳しい内容であったとしても、きちんと伝えることもまた親心なのです。
さらに言えば、伝える内容が「むごい」ことでも、それを伝えるための方法や言葉遣いが、相手を傷つけたり、上から一方的に抑えつけるような「むごい」ものである必要はないということです。
「はやくたすけをいそぐから」とあるように、あくまで相手のたすかりを第一に考え、どこまでもこちらの心を低くして、ねぎらい、励ましながら伝えることが肝心であり、それによってどれだけ相手が成人するかが、指導する者として試されているのです。