第1338回2025年6月13日配信
いつも住みよい所へ
夫婦で身上を患っていた増野正兵衛さん。教祖との出会いによって、人生が決定的に変化した。
いつも住みよい所へ
どんな人の人生にも、いつしか転機が訪れます。ある出会いが、その人の生き方自体を決定的に変えてしまうこともあるでしょう。
明治十七年二月のこと。神戸・三宮駅の助役をしていた増野正兵衛さんは、十数年来、脚気などに悩まされていました。また、妻のいとさんは、三年越しのソコヒを患っており、何人もの名医にかかっても為すすべなく、ただ失明を待つばかりという状態でした。その頃いとさんは、知人から「天理王命様は、まことに霊験のあらたかな神様である」と聞き、それなら一つ夫婦で話を聞いてみよう、ということになりました。
その時聞いた知人の話によると、「身上の患いは、八つのほこりのあらわれである。これをさんげすれば、身上は必ずお救け下さるに違いない。真実誠の心になって、神様にもたれなさい」また、「食物は皆、親神様のお与えであるから、毒になるものは一つもない」と。
そこで正兵衛さん、病気のためにやめていたお酒でしたが、その日にあげたお神酒を頂いてみたところ、翌朝はすこぶる身体の調子がよく、さらにいとさんの目も、一夜のうちに白黒が分かるようになりました。
早速に夫婦揃って神様にお礼を申し上げ、話を聞いた知人宅へも行って喜びを告げました。ところが帰宅すると、どうしたことか、日暮れを待たずにいとさんはまた目が見えなくなってしまいました。
この時夫婦で相談し、「一夜の間に、神様の自由をお見せ頂いたのであるから、生涯道の上に夫婦が心を揃えて働かせて頂く、と心を定めたなら、必ずお救け頂けるに違いない」と語り合い、夫婦心を合わせ、朝夕一心にお願いをしました。すると正兵衛さんは十五日間ですっきりご守護頂き、いとさんの目も、三十日間で元通り見えるようになったのです。
その年の四月、正兵衛さんは初めておぢば帰りをし、教祖にお目通りさせて頂きました。教祖は、「正兵衛さん、よう訪ねてくれた。いずれはこの屋敷へ来んならんで」と、やさしく仰せ下さいました。このお言葉に強く感激した正兵衛さんは、仕事も放って置かんばかりにして、おぢばと神戸の間を往復して、おたすけに奔走しました。しかし、おぢばを離れると、どういうものか、身体の調子が良くありません。
そこで教祖に伺うと、「いつも住みよい所へ住むが宜かろう」と仰せられました。この時、正兵衛さんは、どうでもお屋敷へ寄せて頂こうと、堅く決心したのでした。(教祖伝逸話篇145「いつも住みよい所へ」)
おぢばを離れると身体の具合が悪くなり、訪ねていくと良くなるといったことを繰り返し経験した正兵衛さん。不思議なことに、教祖の御前に出ると、信仰的な疑問も家庭の悩みも一瞬にして解けてしまったといいます。
まさに教祖のお側こそ、正兵衛さんにとっての「住みよい所」でありました。後に明治二十三年、正兵衛さんといとさんは、夫婦揃ってお屋敷へ住み込むこととなったのでした。
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