第1127回2021年5月22日・23日放送
人をたすける心
私たちが自分の幸せを求めるのは自然なこと。しかし、他の人の人生も同じようにあることを忘れてはならない。
人をたすける心
幸せとは何か、という問いに対する答えは一つではありません。人はみなそれぞれに、幸せな人生を夢見て精いっぱい努力しているのです。
天理教教祖・中山みき様「おやさま」は、次のようなおうたによって、それまでの、人々の人生における思案の方法について、一大転換を促されています。
いまゝでハせかいぢううハ一れつに
めゑ/\しやんをしてわいれども(「おふでさき」十二 89)
なさけないとのよにしやんしたとても
人をたすける心ないので(十二 90)
これからハ月日たのみや一れつわ
心しいかりいれかゑてくれ(十二 91)
「今までのところ、世界中の人間は、それぞれみな一様に幸せへの道を求めて、色々に思案をしてきている。ところが情けないことに、どれほど一生懸命考えたとしても、ただ自分の幸せを追い求めるだけで、人をたすけようとする心を持っていない。そこで、すべての人間を可愛い我が子と思う親の立場からの頼みである。どうかこれから、人をたすける心になるよう、しっかり心を入れ替えてもらいたい」
私たちが自分自身の生活を充実させようとするのは、きわめて自然なことです。日々の暮らしを豊かに送るための努力は、ある意味、与えられた人生に対する誠実さの証しと言えるでしょう。
しかし、ここで忘れてはならないのは、他の人の人生も同じようにあるということです。自分以外の人も、自分と同じように一生懸命生きているという認識です。それを欠いた思案をいくら重ねても、努力をどれほど積み上げても、決して多くの実りを得ることはできません。
私たちはみな等しく神様によって創られ、お育ていただいている「神の子」であるということ。その自覚の上に立って、すべての人間を我が子と思召される神様のお心を知れば、人の人生と自分の人生の重みには何ら変わりのないことが実感されてくるでしょう。
人の痛みを知り、人のために尽くそうとする心は、そうした実感に根付いてこそ、育っていくと思うのです。