(天理教の時間)
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第1407回2026年10月9日配信

転んで見えたもの

家族円満 花田浩美
花田 浩美

文:花田 浩美

第1241回

歯をくいしばると…

歯科医から「歯を食いしばる癖がありませんか?」との指摘。看護師としての過酷な仕事が原因だろうか…。

胸の奥にこの花あるかぎり

「歯を食いしばると…」

 

かかりつけの歯科医院から、半年ごとの定期検診の案内状が届いた。いつもは詰め物が外れたりしないかぎり、受診しないのだが、今回は素直に受けてみることにした。というのも、最近参加したイベントや研修会で、高齢者の「お口の健康」が繰り返し取り上げられており、その大切さを再認識したからである。

いま日本は、世界が経験したことのない超高齢社会を迎えようとしている。2025年には、戦後のベビーブーム生まれの「団塊の世代」が、75歳以上の後期高齢者となるからだ。

本来、長寿は喜ばしいことである。しかし、せっかく長生きしても、寝たきりや介護が必要な生活になってしまっては残念である。現在の日本では、男性で九年、女性で十二年の介護生活を余儀なくされるといわれる。元気で自立した生活ができる「健康寿命」の平均は、男性72歳、女性75歳。この健康寿命を延ばそうと、さまざまな介護予防の取り組みが始まっている。

その一つが「お口の健康」である。お口のトラブルを予防して、いつまでも「口から食べる幸せ」を味わってもらい、元気に過ごしてもらおうというものだ。

医師、歯科医師、歯科衛生士、摂食・嚥下障害看護認定看護師、栄養士など多職種のエキスパートがチームを組んで、各地で熱心に活動を展開している。

年を取ると唾液が減り、口のなかで細菌が繁殖してしまう。食べ物を飲み込む力も衰え、むせたりして肺炎の原因となる。また、虫歯や歯周病で物を噛めなくなると、必要な栄養が取れず、衰弱につながる。「お口の健康」は、全身の健康に大きくつながっている。

私は若いころは虫歯もなく、歯科医のお世話になることなく過ごしていた。四十代のある日、歯茎が腫れて痛みだし、歯科を受診。虫歯はなかったが、歯と歯茎の間をきれいにできていなかったので、歯周病が発生したのだった。初めてブラッシング指導を受け、それ以後は手入れを怠っていない。

今回の定期検診の結果、「よく磨けていますし、歯は大丈夫です。ただ、歯茎に負担がかかって赤くなっています。歯を食いしばる癖がありませんか?」と尋ねられた。

さらに、「しっかり噛むことは、栄養を取る助けになり、認知症の予防にもなるので大切です。でも通常、何もしていないとき、上の歯と下の歯は触れ合っていないものです。食いしばることによって、歯や歯を支える骨や筋肉に力がかかって、せっかく治療した詰め物が外れたり、歯の根元がすり減ったり、ぐらついたり、知覚過敏、肩こり、頭痛などを起こす恐れがあります。テレビを見ているときや、考えごとをするときなど、できるだけ歯を食いしばらないで、少し離すよう意識してみてください」と指導を受けた。

言われてみると、何かしているとき、知らぬ間に歯を食いしばっているのに気づく。これはある種の、〝生活習慣病〟だ。看護師の職業病かもしれない。ストレスの多い看護管理者が、よく歯茎を腫らして歯科を受診していたのを思い出す。

私たちの体は、人間の親なる神様からの借りものと教えられる。「体を使わせていただくに当たり、歯を食いしばって物事をすることを、神様はあまりお喜びにならないかもしれない」との思いに至る。

人が歯を食いしばるときは、苦しみ、痛み、つらさなどを耐え忍んでいるものだ。「陽気ぐらし」は、互い立て合いたすけ合いが基本。大変なときは一人で耐え忍ばず、もっと人に頼って助けてもらい、人がつらそうなときは助けてあげる。そうやって、互いに感謝しながら乗り越えていけばよいのだ。

 

「やさしい心になりなされや。人を救けなされや。癖、性分を取りなされや」(『稿本天理教教祖伝逸話篇』123「人がめどか」)

天理教教祖「おやさま」のお声が聞こえてきそうである。

 

歯と歯の間を空けるようにしていると、ほんわかとやさしい気持ちになっているのに気づく。

「定期検診は、借りものの体を正しく使わせていただいているかのチェックにもなるのだなぁ」と思った。

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