第1306回2024年11月1日配信
同居の恩恵
教会に嫁ぎ、ごく自然に主人の両親と同居することに。ママ友の多くは驚き「大変だね、私は無理!」と言う。
同居の恩恵
兵庫県在住 旭 和世
「ばあばちゃ~ん!これ直して~」
おもちゃを壊してしまった時、うちの子たちは私の前をスルーして、すぐ母の所に持っていきます。宿題で分からない所があると、「じいじ~宿題おしえて~」と、父の所に飛んでいきます。
食べたい夕食のメニューがある時も、うちの子は迷いなく「ばあばちゃ~ん、今日ハンバーグ食べた~い」と母におねだりに行きます。娘に「どんな人が好みのタイプなの?」と聞くと、すかさず「じいじみたいな優しい人がいい~!」と言います。
子供たちは本当に正直です。この子たちの親はいったい何しとるねん!と、つっこまれそうですが、そうやってじいじ、ばあばに甘えられる子供たちを見て、心からありがたいと思うのです。
私は教会の後継者である主人と恋愛結婚し、主人の両親やきょうだい達と教会で同居することになりました。深く考えることもなく、そんなものだと思って嫁いできました。
でも良く考えてみると、主人は自分が選んだ相手ですが、両親までは選べません。きょうだいもしかり。どんな人と家族になるかは、ある種くじ引きみたいなものです。よく、そんな賭け事みたいな人生におそれることなく、のん気にやってきたものだと、今となっては笑えてきます。
ただ、自分も教会で育ち、幼い頃から神様のお話を通じて心の使い方などを教えられてきたので、きっと、同じ教会なら価値観や考え方も似ているだろうと信じていました。
嫁いですぐに馴染めたかと言われたら、もちろんそんなことはありません。最初は緊張したり、気もつかったり、多少のカルチャーショックも受けつつ、じわじわと慣れてきたように思います。その一方で、両親や周りの方はそれ以上に、私に気をつかってくれていただろうと思うのです。
ママ友からよく言われます。「え~、旦那さんの両親と同居してるの? うわ~、大変だね~。私は無理だわ~」
主人の家族と同居するのは、私の住む地域ではとても珍しいことなのだと、周りのママ友を見て気がつきました。私は実家でも祖父母が一緒に住んでいたこともあり、特に抵抗がなかったので、こんなにもびっくりされるということに、まず驚きました。でも実際一緒に住んでみると、良い面がたくさんあるということに年々気がついてきました。
現代では出産を機に、環境の変化や子育ての不安などにより、「産後うつ」を発症するママさんがたくさんおられると聞きます。きっと、理想とかけ離れた育児の現実に戸惑い、その悩みを誰にも相談することができず、一人で抱えている方が多いのではないかと察しています。
その点で言うと、もし両親と同居していれば、育児の先輩がすぐそこにいてくれて、アドバイスをもらったり、長年の知恵を授けてもらうこともできます。
今はネット上に情報があふれ、育児書も充実しているので、ひと昔前の情報が古臭いと感じることがあるかもしれません。でも、経験者がそばにいる心強さと、まったく目が離せない時期にちょっと見てくれる人がいる安心感、それだけでも産後の不安はかなり解消されると思います。
私自身は、子供が大きくなるにつれて、益々親のありがたさに気がつきました。若い頃、甥っ子や姪っ子の面倒を見ていた時は、可愛いばかりで怒る必要はなかったのですが、我が子となると責任を感じてしまい、ちゃんと育てないと!とか、人の迷惑にならないように躾けないと!などなど、妙に力が入ってしまいます。そして、気がつけば必要以上にガミガミ言っている自分がいて、「こんな怖いママになるつもりはなかったのに…」と、我が子の可愛い寝顔を見て後悔することもしばしば。
でも、子供たちにとれば、私がガミガミ言っていても、隣りでじいじやばあばが笑ってフォローしてくれたり慰めたりしてくれるので、それが救いになっているようでありがたく思っています。
ややもすると、我が子を自分の分身のように考え、こちらの思う通りに育てたいと思いがちだけど、親がそばにいてくれるおかげで、子供は一人の人間として「個」を持つ存在であり、その個を大切にしなければならないと思えるようになりました。
同居したら気苦労が増える。そう思う人もいるでしょう。たしかにそうかも知れませんが、ある先輩の先生がこう言われました。「その気苦労がとても良いんです」と。
気苦労=悪いこと、ストレスになること。私もそんな負のイメージしか持っていませんでした。しかし、その先生の言葉を聞いて、周囲の人に気を配ってお互いに気持ちよく過ごせるように工夫したり、言葉をかけ合う姿を映すことが、子供たちの将来にとって、とてもいいことなのではないかと考えるようになりました。彼らが社会に出て家庭を持った時、自然にその気づかいができるようになっていたら、これほど嬉しいことはありません。それは、私たち親が子供たちに手渡すことの出来る心の財産だと思います。
思い返せば、私自身も教会で生まれ育ち、祖父母や住み込みさんと一緒に暮らし、教会に出入りしているたくさんの方々の中で育ててもらいました。その中で両親が皆さんに心を配っている姿や、自分たちの時間を惜しまず、祖父母の世話をしたり、信者さんの悩みを聞いたり、おたすけに出向く姿を間近に見られたことが、今では心の財産になっているとつくづく感じています。
「おふでさき」に、
せかいぢういちれつわみなきよたいや
たにんとゆうわさらにないぞや (十三 43)
とあります。
世界中のみんながきょうだいならば、一緒に暮らす家族や身近な人はきょうだいの中のきょうだい。本当に、何十億分の一の確率の、奇跡ともいえる巡り合わせです。
両親と同居できたおかげで、親がそばにいる安心感と恩恵を頂いているのだから、今度はその恩恵にご恩返しをさせてもらえる自分になりたい!と思いつつ、まだまだ両親に甘えっぱなしの毎日です。
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