第1271回2024年3月1日配信
夫婦のバランス
夫婦が男女それぞれの特性を活かすことで家庭は治まる。ただ女性は仕事において、女性性を発揮しづらいことも多く…。
夫婦のバランス
奈良県在住・臨床心理士 宇田 まゆみ
夫婦は二人でバランスを取ることで、一つの家庭としてうまく治まっていきます。夫婦は対等の関係ですが、男性には男性性、女性には女性性という、本来的に男女がそれぞれ持っている特性があり、その二つのバランスによって夫婦というものが成り立っています。
本来は性別と合致した形で、男性が男性性の要素を担い、女性が女性性の要素を担うわけですが、仕事をする女性が増えたことによってそのあり方が変わってきました。男性中心に発展してきた社会に女性が進出する際、本来の女性性を横において、男性性を発揮しなければならない場合があります。そのよう女性は、「強い女性」などと言われたりしますが、そういうケースが増えているのです。
振り返ると私自身もそうで、長年、男性に負けないように、しっかりした自分になろうと力を入れて仕事をしてきました。そういう社会の中で、自分の責任を果たしていこうと思うと、しっかり者であることが求められます。ですから子育てにおいても、男女の別なく、しっかりした子に育って欲しいという気持ちが自然と湧き、「あの子はしっかりしているね」というのが子供に対する最高の褒め言葉のようになっています。そうなると、やはり子供は褒められたいので、しっかり者にならないと、という意識が働くのです。
しかし、それはあくまで男性社会を中心とした基準です。しっかりしている、頼り甲斐があるなどは男性性の特徴であり、逆にふわっとした柔らかさやしなやかさ、か弱さというような女性性は中々発揮されにくいというのが、社会の現状のようです。
もちろん、社会で働くには男女問わず男性性の要素が必要で、男性性を大いに発揮してバリバリ働く頼り甲斐のある女性も多く見られます。そのように能力を発揮できるのは素晴らしいことです。しかし、こと家庭においてはどうでしょうか。知らず知らずのうちに、夫婦が共に男性性を発揮しているような状況も多いと思います。
私も結婚以来ずっと、外で力を入れて仕事をし、家庭でもしっかりした奥さんにならないと!と、主人に張り合うような感覚を持っていました。そして、それが女性としての自分を成長させるための正しい方法だと思っていたのです。
それがある時、尊敬する心身医学の先生に、原始時代からの男女の役割と備えてきた特性、また男女での脳の構造の違いについて教えて頂き、それまでの考えが間違っていたことに気づかされたのです。
現代社会の中で頑張る女性は、自分の持って生まれた自然な特性ではなく、男性社会に合わせた要素を使っているという点で、個人差はあるにしても少し無理をしている人が多いのではないでしょうか。そして、それを家庭に持ち込むことで、夫婦のバランスが崩れるだけでなく、自分自身に向けても、さらに負担をかけることになってしまうのです。
夫婦は二人でバランスを取る必要があるので、妻の男性性が強いと、自ずと夫の女性性が高まると言われています。私の主人はとても優しくて控えめで、身体も細く、いわゆる男らしいタイプではありませんでした。ある時、私が男性性を発揮しているからではないか?と気づき、私自身、女性性を高めることを意識するようになりました。
それまでは、しっかりしている自分でいようと、弱い自分を押し隠して、頼ったり甘えたりすることができなかったのですが、せめて家庭では頑張る自分をやめて、何事も主人に頼るようにしました。すると、主人が以前よりも自分の意見をはっきり主張し始め、家庭でも自然とリーダーシップを発揮するようになり、そのうえ仕事も順調に進み出したのです。
さらに不思議なことに、細身だった主人の体型ががっしりとしてきて、胸板も厚くなってきたのです。
夫婦のバランスが整うことで、男性は安心して外へ出て自分の力を発揮できることを目の当たりにし、びっくりすると共に喜んでいます。夫が頼もしく活躍している姿を見て、男女の特性を活かし、夫婦のバランスを整えることがどれほど大事なことかを痛感する、今日この頃です。
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