(天理教の時間)
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第1405回2026年9月25日配信

伝えたい思いがある

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関根 健一

文:関根 健一

第1226回

おじいちゃんの親心

おじいちゃんが信仰を通じて教えてくれたこと。手紙で人と心を結ぶこと、真剣におさづけを取り次ぐこと…。

おじいちゃんの親心

滋賀県在住  池戸 剛

 

今、私の目の前には200通を超える手紙がズラリと並んでいます。この手紙は、すべておじいちゃんが私に送ってくれたものです。

手紙は、私が天理高校に入学し、寮生活を始めた16歳の時から、天理に住んでいた時も、新潟へ布教に行っていた時も毎月送ってくれて、実家の教会で一緒に住み始めた32歳まで続きました。その数は16年間で200通を超えていて、その全てが手元に残っています。

いま改めて読んでみると、こんなことが書かれています。

「いつも明るく振る舞ってくれて有り難く思っています。つよしに授かった明るい笑顔と明るい声、人をよろこばせる人徳です。今の御用を大切につとめてください」

「悲しかったこと、辛かったことも、後になって、『あれもこれもご守護だった』と思わせて頂くこともある。私は経験している。元気で人様を大切につとめてください」

何度読み返してみても、心に染みます。褒めたり、励ましたりしながら、どんな時も親心いっぱいに見守ってくれていたんだなと感じるのです。この宝物のような手紙は、これからも折々に私を励ましてくれることでしょう。

そんなおじいちゃんとの思い出の中で、忘れられないエピソードがあります。それは私が27歳の時、激しいめまいに襲われた時のことです。

はじめは疲れが溜まっているのかなと、様子を見ていたのですが、しっかり休んでも改善されません。むしろ悪くなる一方で、地面を歩いていてもスポンジの上をふわふわ浮いているような感覚で、怖くて歩けません。病院で脳のMRI検査をしても異常は見つからず、ついには立っていることさえもままならなくなり、10日あまり床に臥せっていたのです。

そんな孫の様子を聞きつけ、心配になったおじいちゃんが駆けつけてくれました。天理教の教服姿でやってきたおじいちゃんは、いつもと違うピリッとした雰囲気で、「おさづけを取り次がせてもらおう」と低い声で言い、こちらにも緊張が走りました。

勢いのある大きな声で、病気の平癒を願うおさづけの取り次ぎが始まりました。ところが、次第に声がかすれ、すすり泣く様子が目をつぶっている私にも伝わってきました。

声にならない声で祈り、頭から順にさすってくれるのですが、私の頭や顔には、おじいちゃんの涙がポタポタと降ってきました。

おじいちゃんの手には力が入っていて、私の身体がぐらんぐらん揺れます。まっすぐ座っていられず、自分の身をすべて委ねるような感覚になりました。

「こんなに心配をかけているのか。本当に申し訳ない。これからのことは神様にお任せしよう」。おさづけの取り次ぎが終わる頃、私の心にはそんな思いが浮かんできました。

当時私は、天理教の教会に住み込み始めて間もない頃でした。来る日も来る日も同じことをする単調な日々。「いつまでこんなことをやっているんだろうか」。社会や同世代の若者から置いてきぼりにされているような焦りもあって、喜べていませんでした。

そんな私を不憫に思った神様が、身体にお手入れをくださったのでしょう。それでも心の切り替えができませんでしたが、おじいちゃんのおさづけの取り次ぎによって、ようやく気づかせてもらえたのです。

その夜は久しぶりにぐっすり眠ることができ、朝を迎えました。気分も良く、身体も何だか軽く感じました。起き上がってもフラフラせず、歩くこともできました。まだ半信半疑でしたが、その日を境にめまいはどこかへいってしまいました。

天理教では、この身体は神様からのかりものであると教えて頂いています。かりものの身体は、自分の思い通りに使えるのではなく、私たちの心使いを神様が受け取られて、その心にふさわしい姿を現してくださると教えられています。

私はおじいちゃんの心のこもったおさづけによって、そのことを教えて頂きました。おじいちゃんが亡くなって間もなく10年になろうとしていますが、今もしばらく会っていないだけで、元気にしているような気もします。

さて、私はおじいちゃんに返信を出していたおかげで、手紙を書くことを覚えました。五年前から、教会につながる70人ほどの方に、誕生日祝いの手紙を書いています。また、教会から遠く離れた地域で頑張っている若者にも手紙を書きます。

普段会えない人や、面と向かって言うのにはちょっと恥ずかしいことも手紙なら伝えることができます。おじいちゃんが私たち孫に、手紙を通して親心を掛けてくれたように、私も手紙で皆さんと心を結んでいきたいと思います。おじいちゃん、ありがとう。

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