第1184回2022年6月25日・26日放送
一粒万倍という楽しみ
長い人生は、山あり谷あり。どんな中も先を楽しみに大きな心で通ることの大切さを、神様は教えてくださる。
一粒万倍という楽しみ
長い人生の中には、どんな道中もあります。それこそ山あり谷あり、時には強い雨風にさらされることもあるでしょう。けれど、たとえ嵐の吹きすさぶ谷底の道中であっても、いや、そうであれば尚のこと、ならんところを辛抱し、たすけ合って生きていくことが大切です。
神様のお言葉に、
「上ぼり切りたら下だらんならん。よう聞き分け。雨降る中もだん/\凌ぎ、百石蒔いて一粒万倍という楽しみ」(「おさしづ」M29・10・10)
とあります。
神様は、雨が降る中もだんだんと凌いで、楽しんで通るように、と仰せられます。そうした状況を楽しむことは、なかなかできることではありませんが、しかし、いずれ雨や嵐は去っていくものです。その先には晴天が待っているという大きな心で受け止めて、努力を重ねていくなら、雨や嵐も決して悪いことばかりではないはずです。
暮らし向きが上昇していくのは、よいことには違いありません。しかし、それも上りきったら、あとは下るより道はないと教えられます。考えてみれば、これは当然で、永久に上昇し続けることはないのです。必ずどこかで下がる時がくる。器もいっぱいになれば、それ以上は入らずにこぼれてしまう。こうした道理は、誰でも理解できます。
しかし厄介なことに、私たち人間には欲があります。この欲が、物事を判断する時に邪魔をするのです。厚かましくも、どこまでも上りきろうとする。やはり、日々お与えいただくご守護を、充分満足に受け取り、しっかりと喜ばせていただくことが肝心です。そうして自らの心の器を大きくしてこそ、一粒万倍の与えをいただくことができるのです。
与えすべてをわがものとする考えや態度は、心の上りきった姿だと言えます。上りきってしまわずに、与えのうちの二分は先々の種蒔き用として取っておき、あとの八分で慎みをもって暮らす。これが天の理に叶った暮らしの秘訣だと思うのです。