(天理教の時間)
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第1280回2024年5月3日配信

そこにある幸せ

山本達則先生 IMG_1557
山本 達則

文:山本 達則

第1176回

手間暇かけて味わう喜び

レコード人気が再燃している。利便性とは正反対の、手間暇をかける体験が若者には新鮮な魅力のようだ。

手間暇をかけて味わう喜び

 

近年、アナログレコードの人気が再燃しています。日本国内のレコードの生産額は、2010年には1億7000万円まで落ち込んだものの、2020年には21億円を超え、この十年間で十二倍に増えました。アメリカでは2020年、34年ぶりにレコードの売り上げがCDを上回りました。

世界的ブーム再燃の背景には、長年レコードに親しんできたオールドファンはもとより、特に20代を中心とする若い世代に人気が広がっていることがあります。

かつて音楽業界の主役だったレコードが、その座をCDに奪われてから久しく、さらに時代が進んだ今では、CDに替わりインターネットでの音楽配信が主流となっています。月1000円ほどの定額制による、スマートフォンの聴き放題サービスが若者を中心に定着しています。

一方、レコードは、CDと比べても価格帯が1・5倍ほど高くなり、聴くためにはレコードプレーヤーも必要です。なぜ、このようなレコードが人気なのでしょう。理由はいくつかありますが、その中でも「手間をかけて音楽を聴く体験が心地よい」という声が多いといいます。指先の操作一つで簡単に音楽が聴けるデジタルの利便性とは正反対の体験が、若者にとって新鮮な魅力と映っているようです。

ICT、情報通信技術を活用したサービスが普及し、欲しいものが安く手に入る世の中になっても、お手軽には味わえない体験に価値を見出す人が少なくないようです。

現代の私たちの生活は、さまざまな技術の発達に伴い、利便性が高まっています。信仰においても少なからずその恩恵はあり、信仰生活にもさまざまに影響を及ぼしています。しかし、手間をかけ、じっくりと時間をかけなければ味わえない信仰の喜びは確実にあります。

天理教教祖・中山みき様「おやさま」は、

「価を以て実を買うのやで」(教祖伝 322頁)

と仰せられます。
神様のご守護をいただくには、それ相応の真実のつとめによる「価」が必要であるとの教えです。

価を得るための、特別な近道などありません。日々、手間暇をかけ、ご守護をいただく喜びを深く味わいたいものです。

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