(天理教の時間)
次回の
更新予定

第1280回2024年5月3日配信

そこにある幸せ

山本達則先生 IMG_1557
山本 達則

文:山本 達則

第1148回

笑うて泣いてまた笑て

『笑うて泣いてまた笑て 妹尾和夫のしゃべくりエッセー』の一部をご紹介します。

笑うて泣いて、また笑て  妹尾和夫のしゃべくりエッセー

 

関西を中心に、ラジオパーソナリティー・演出家・俳優として活躍する妹尾和夫さん。天理時報に八年間にわたり連載されたエッセーが、一冊の本になりました。天理中学・天理高校で学んだ青春時代の思い出や、撮影現場や番組でのエピソードなどを縦横に語った、「笑うて泣いて、また笑て 妹尾和夫のしゃべくりエッセー」。今日はその中から、2013年4月掲載の初回エッセーをご紹介します。

皆さん初めまして、妹尾和夫と申します。関西を拠点にラジオやテレビ、舞台に出ておりますが、ご存じない方もおられるでしょうから、簡単に自己紹介を―。

僕は大阪生まれで、一人息子の甘えん坊。中学、高校と6年間を奈良県の天理市で過ごし、教師になる志を抱いて東京の大学に入ったものの、役者となって大阪へ戻ってきました。いまは劇団の座長として演出を担当したり、役者として出演したりしていますが、どちらかと言えば、〝しゃべりの仕事〟を中心にさせていただいています。

10年前には、大阪・ABCラジオで『全力投球!妹尾和夫です』という、4時間20分にわたる生放送ワイド番組のメーンパーソナリティーを、月曜日から金曜日まで務めていました。6年続いたその番組で、僕にとって忘れられない〝事件〟が起こりましたので、今回はそのことについてお話ししましょう。

あれは番組が始まって翌年の夏、母校の天理高校野球部が甲子園に出場しました。僕が天理高校出身だと知っていた番組プロデューサーから「応援に行きまんのか?」と尋ねられ、「行けるときは行きますよ」と返すと、「校歌、歌えまんのか?」と聞いてきたのです。もちろん「歌えます」と答えました。

で、天理高校が1回戦を勝った翌日の放送。高校野球の試合結果を報告していると、イヤホン越しにプロデューサーが「校歌、ホンマに歌えまんのか?」と聞いてきました。生放送中にもかかわらずです。

「歌えますって」

「歌てみなはれ」

「歌ってええの?」

とやりとりをするうちに、ジャーンと天理高校の校歌のカラオケが流れてきました。仕方ないから僕も腹をくくって、

 ♪見よ空高く輝くひかり 天理のみおやの導くところ……

と声高らかに歌ったのです。

これが世に言う(?)「生放送校歌〝全力熱唱〟事件」です。放送直後、近畿2府4県はもちろん、四国、岡山の同級生や教会長さん、天理教を信仰している大勢の人から、思いも寄らない反響を頂きました。

「ものすごい勇気をもらった」

「涙が止まらなかった」

といったお便りもたくさん頂戴しました。

ラジオの仕事でも、特定の宗教の話題にふれるのはタブーです。校歌を歌った後は「大丈夫やろか」との不安も、正直言ってありました。でも、それ以上に、「お世話になった方々に、ちょっとは恩返しができたかな」という気持ちでしたね。

この一件から、僕は天理で過ごした青春時代のエピソードなど、バンバン話をさせていただくようになりました。高校時代は「信仰は自由だ」と言って、あれやこれやと反発していた人間でしたが、おととしの母校の同窓会で、仲間からこう言われたんです。

「おまえは学校で一番反発していたけれど、一番天理の名前を広めてくれた」

天理教の時間専用プレイヤーでもっと便利にもっと身近に天理教の時間専用プレイヤーでもっと便利にもっと身近に

おすすめのおはなし