(天理教の時間)
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第1276回2024年4月5日配信

人生最大のラッキー

目黒和加子先生
目黒 和加子

文:目黒 和加子

第1095回

夫婦円満の秘訣

長男の結婚相手は未信仰のお嬢さん。教会生活に懸命に馴染もうとする彼女の姿勢を見て、長男の行動も変わり始めた。

夫婦円満の秘訣

青森県在住  井筒 悟

今年の初め、25歳の長男から私たち両親に相談がありました。
聞くと、結婚したい女性がいると言うのです。相手は、地元で看護師をしている23歳のお嬢さんです。結婚してどこに住むのかと聞くと、教会で一緒に住みたいと言います。親としてはうれしい反面、意外な気がしました。

教会の朝は早く、神殿掃除から始まります。住み込みさんや通ってくる青年さんもいて、家族だけではありません。昼夜にわたる看護師の仕事と、初めての教会生活。しかも新型コロナウイルスの影響で、病院も教会も、感染防止にピリピリしている時です。当面は結婚式や披露宴も出来ない状況で、親としては何もしてやれません。

ただ、長男はそれでもいいと言います。それを聞いて、彼女もすべてを了解して二人で決めたんだなと、その思いが伝わってきました。

結婚の相談をされてから、初めて相手のご両親にもお会いしました。
娘さんが嫁ごうとしている家は天理教の教会です。普通の家庭とはかなり生活習慣が違うことを伝え、また将来に向けては長男と一緒に信仰を培ってほしいことなど、私たちの思いを聞いてもらいました。

彼女のご両親は、信仰の話も楽しそうに聞いてくださり、本人同士が良ければと、二人の結婚を快諾されました。縁談は何の障害もなくトントン拍子に進み、5月に入籍を果たしました。

私には4人の息子がいますが、よく結婚談議になります。
「結婚する、しないの主導権は女性にあると思うよ」と言うと、息子たちは「エッ?」という顔をします。

「お付き合いをしている女性が、この人となら結婚してもいいな、という素振りを見せたら、男は迷わずプロポーズした方がいい。主導権は女性にあっても、女性から結婚を言い出すのを遠慮する風潮がまだあるからね。その際はくれぐれも、『数ある男性の中から僕を選んでくれてありがとう』という感謝の気持ちを忘れないように」

すると、「お父さんたちはどうだったの?」と聞くので、「僕がお母さんに選ばれて結婚しました。女性が選んだ結婚というのは、とても温かくて優しい家庭が築けるんだよ。その証拠に君たちが生まれたんだ。君たちは生き証人なんだよ」と言うと、息子たちは少し真顔になりました。

女性は、子供を産み育てながら進化をしてきました。妊娠してから、出産し、母乳を与える期間だけでも3年の月日はかかります。
母子だけでは生活が難しい不安定なこの時期に、女性は誰に守ってもらおうか、誰に自分の人生を託そうかと考えます。安心、安全、安定を望む本能があり、その先に結婚があります。ですから主導権は、子供を産み育てる女性側にあると、私は息子たちに話すのです。

一方男は、女性とは真逆で、安定を嫌い冒険が大好きです。違った環境に飛び込んでいく性質があり、開拓心が旺盛です。この一点だけを比べても、男女はなかなか分かり合えない存在だということが納得できます。

私はよく結婚式の司会を頼まれるのですが、ある式でとても面白い仲人さんに会ったことがあります。その方は、これまで数十組ものカップルを世話してこられたそうですが、驚くことに未だ一組も離婚していないと言います。
私は、「どうすれば、そんな素敵なご縁をつくれるのですか?」と聞いてみました。

その方は、結婚相手に対して、年収、容姿、肩書き、家柄など、様々に条件を出す方の相談には乗らないというのです。
「私と結婚してくださるなら、喜んでお受けします」という方だけを世話取りした結果として、その後すべてのカップルが別れることなく円満に暮らしているとのことでした。相手に対して、あれこれ条件を主張しない者同士の結婚がうまくいくという、とても面白いお話でした。

信仰については何も知らない長男のお嫁さんですが、早朝の神殿掃除を手伝ってくれます。掃除が終わると、朝のおつとめが始まるまで、神殿でいろいろと話しをします。

新婚ホヤホヤの彼女に、「惚れた腫れたで過ごせるのは3年が限度だよ。いつまでもドキドキしていると身体がもたないからね」と冗談交じりで話すと、「では、生涯夫婦仲良く過ごすには何が必要ですか?」と聞き返してきました。

「それは、相手に対する信頼と感謝の気持ちかな。結婚はゴールではない。特に最初の3年間は、お互いの心に信頼と感謝を培うための大切なスタート期間だと思って通ってほしいね」。

23歳の彼女には少し難しかったかもしれませんが、私の言葉に何かを感じたのか、次の日から彼女は夫のことを「さん」を付けて呼ぶようになりました。
また、夫である長男にも変化が表れました。
これまでは、親がいくら言っても聞く耳を持たなかったのですが、嫁さんに引きずられて、朝の神殿掃除に起きるようになったのです。仕事で毎晩帰りも遅いのですが、翌朝には必ず神殿に元気な顔を見せてくれるようになりました。

今まで母親任せだった、食後の食器洗いも自分でするようになりました。
結婚したんだから当たり前と言えばそうですが、私たちからすれば、長男の変わりようにびっくりしています。

新婚の二人を見ていると、
「ふたりのこゝろををさめいよ なにかのことをもあらはれる」 (みかぐらうた 四下り目 2)
という神様のお歌が自然に浮かんできます。

神殿で二人並んで神様に手を合わせている姿に、ふと気づかされたことがあります。二人は向かい合っていません。神様を前に、夫婦同じ方向を見ているのです。夫婦とは、相手を見るより先に、まずお互いが神様の方に心を向け、淡々と心を整えていくうちに、自然と相手に対する信頼と感謝の気持ちが湧き上がってくるものなのかもしれません。

お互い価値観の違う者同士が魂を磨き合い、輝いていく。長男の結婚によって、私たち夫婦も初心に戻ったようなありがたい気持ちになりました。

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