(天理教の時間)
次回の
更新予定

第1270回2024年2月23日配信

東京スカイツリーから、こんにちは ~かぁかの大切なスタッフへ~

吉永先生
吉永 道子

文:吉永 道子

第1107回

神様からのプレゼント

コロナ禍で自宅での食事の機会が増え、娘が元気がないことに気づいた。学校で対人関係に苦しんでいるようで…。

神様からのプレゼント

青森県在住  井筒 悟

最近、ひとりで食事をとる「孤食」が増えていると言います。ひとり暮らしの方や、それぞれの仕事の形態など、様々な要因がありますから、一概に孤食が悪いとは言えません。
しかし、孤食が子供の心に良くない影響を与えることや、大人のうつ病や認知症発症との因果関係も指摘されています。
栄養学的には何を食べるかが大切ですが、一方で食事をとる時の心の状態も、思いのほか大切なのではないでしょうか。

私は以前、天理教の教えについて学ぶ修養科というところで、精神疾患や発達障害でつらい思いをされている方々と三カ月間、生活を共にする機会がありました。
食事の時は、皆で揃って合掌をし、「いただきます」と言って食べ始めます。食事は楽しく会話をしながらいただき、揃って「ごちそうさま」と言ってみんなで片付けます。

このことだけでも、様々な病気や事情を抱える皆さんの心に、徐々に落ち着きを取り戻させる効果があるように思います。神様の恵みに感謝して、共に食事をいただくことで、お互いの絆が深まり、心に安心感が生まれるのではないでしょうか。
子供がテレビを見たり、スマホを触りながら一人で食べている家庭も増えていると言いますが、できれば家族揃って会話をしながらいただきたいものです。

現在、コロナ禍のおかげで家にいることが増えました。せめて、子供たちと夕食ぐらい一緒にとろうと思っていた矢先、こんな事がありました。
中学三年生の娘は生徒会に所属しています。文化祭が近づいたある時期、準備で帰宅が遅くなることが続きました。
私はその頃予定していた講演会が中止になったので、毎晩彼女の帰りを待って一緒に夕食をとることにしました。

向き合いながら食べていて気がついたのですが、文化祭が近づくにつれて、日に日に表情が硬くなり、まったく元気がありません。聞くと、クラスメイトとの間で誤解が生じ、自分が仲間はずれになりそうだとのことでした。学校での出来事を必死に話しているうちに、彼女はとうとう泣き出してしまいました。

朝早くに登校し、文化祭の準備をしてきた彼女のがんばりは周りに認められず、対人関係に苦しんでいたのです。中学生活三年目で、初めて見る娘の涙でした。

時間をかけて彼女の話に耳を傾けました。少し落ち着いたのを見計らって、私はお茶碗と樽を使った例え話をしました。

「雨の降った日に、庭先に小さなお茶碗と大きな樽を置いてみる。すると、小さなお茶椀はみるみるいっぱいになってあふれ出し、一方の大きな樽の方はなかなかいっぱいにならない。
雨の降る量は同じでも、片方はすぐにあふれてしまうのに、もう片方は余裕を持ってたくさんの水を受け入れることができる。つまり、天の与えが同じでも、受け取る器の大きさによって、ご守護に違いが出てくるのではないか」。

「今、対人関係で悩んでいて心が苦しいよね。そんな時は、神様から心にたくさん力をもらえるように、心の器を広げたらいいんじゃないかな」

私がそう言うと、娘は「じゃあ、どうしたらいいの?」と苛立ちを隠せないまま聞いてきます。

「じゃあ、これから神様からいただいたエネルギーを、心の器にためる方法を教えるね。まずは、怒らないこと。イライラしないこと。不安になったり、必要以上に悲しまないことがとても大切だよ。今のようにカッカして苛立っていると、心の器はどんどん小さくなってしまうんだ。
反対に、いつも穏やかで、周囲に喜びを与えていれば、器がどんどん大きくなって心にエネルギーがたくさん貯まってくる。
すると、今度はそのエネルギーを人に分け与えることができるようになるんだ。それが人をたすけることにもつながるし、自分の運命も良くなっていく。何が起こっても〝良かった〟と喜ぶこと。そうすれば、必ず神様からのプレゼントがやってくるよ」

しばらく間を置いて、気を取り直したように娘が答えます。

「周りを変えようとするから苦しいんだよね。自分が間違ったことをしているわけじゃないんだから、それで嫌われるんだったら、嫌われたっていい。とにかくイライラしたり、怒るのはもうやめよう。そうしたらきっと、周りにも笑顔が集まってくるよね」。

笑顔が戻った彼女の隣りには、ニコニコしながら聞いている兄の姿がありました。その日は、家族にとってとても大切な夕食の時間となりました。もしコロナ禍がなければ、私もいつものように忙しく仕事に追われ、このタイミングで娘の心に向き合うこともできなかったでしょう。

明くる朝、胸を張って学校に向かう娘を、私は祈るような気持ちで玄関先で見送りました。その夜、彼女は笑顔で帰ってきました。

「お父さん、私、これから人の悪口言わないようにする」

何かが吹っ切れたようでした。すると、前日、一部始終を聞いていた兄がやさしく語りかけます。

「良い言葉も悪い言葉も、結局みんな自分に返ってくるんだよ。人として大切なことに気づいて良かったな」

まるで自分のことのように喜ぶ兄の姿がありました。子供たちの成長を感じ、私も神様の前で自然に涙がこぼれました。

「何が起こっても〝良かった〟と喜ぶこと」

娘に伝えた言葉を、私は熱くなる胸の中でかみしめていました。

天理教の時間専用プレイヤーでもっと便利にもっと身近に天理教の時間専用プレイヤーでもっと便利にもっと身近に

おすすめのおはなし