第1086回2020年8月8日・9日放送
物は大切に
教祖の「物は大切にしなされや」というお言葉は、一般的な道徳で言われる「物は大切に」とどう違うのだろう。
物は大切に
娘さん夫婦と同居しているお母さんが、お婿さんが荷物を整理しないことに悩んでいます。
同居してくれてありがたいと思う手前、あまり強く言えない部分もあるといいますが、家の中の収納空間はどんどん狭まり、廊下などのスペースも圧迫され始めているとのこと。通販で送られてきたダンボール箱や、コンビニやスーパーのレジ袋、包装紙まで大事にとってあり、捨てようとすると、顔色を変えて怒ってしまうそうです。
自宅で整理整頓をする時、物を捨てているかを尋ねたアンケートによると、47・4パーセントの人が「捨てられない」「どちらかというと捨てられない」と答えたといいます。
反対に、「どんどん捨てる」「どちらかというと捨てる」と答えた人は30・4パーセント。物を捨てられない人は案外多いのです。
ある心理学者によると、物を捨てられない人には、「もったいない」「捨てることに罪悪感を感じる」「また使うかもしれない」といった心理が働いているそうです。同時にそのような人には、物や人を大事に扱う心優しい一面があるとのことです。
そんな人に対して、「捨ててほしい」と一方的な言葉を掛けるのは、かえって逆効果。その人のアイデンティティーを否定することになりかねないからです。
天理教教祖・中山みき様「おやさま」は、「物は大切にしなされや。生かして使いなされや。すべてが、神様からのお与えものやで」(教祖伝逸話篇138)と教えられています。
物を大切にすることは、一般的な道徳でもよく言われることですが、ここで教祖はその根拠をお示しになっています。すなわち、すべては神様からのお与えものであり、そこには、私たち人間に陽気ぐらしをさせたいという神様の深い親心が込められている。ゆえに、大切にするべきだということです。そして、それが得心できたら、「生かして使いなされや」というお言葉も心に響いてくるはずです。
きっとこのお婿さんには、物や人を大事に扱う心優しい一面があり、だからこそ物を捨てることを躊躇してしまうのでしょう。彼のそのような気持ちを尊重しつつ、リサイクルについて何気なく話題に出すなどして、物を生かす方法を家族一緒に考えてみてはどうでしょうか。