(天理教の時間)
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第1280回2024年5月3日配信

そこにある幸せ

山本達則先生 IMG_1557
山本 達則

文:山本 達則

第1074回

親心

幼い子どもに向けた母親の親心。そのような温かい心ですべての人々が接し合えば、陽気ぐらしに近づけるのだが…。

親心

若い母親が、赤ちゃんをあやしています。赤ちゃんは目を細くして、ニコニコ笑い始めました。口にはまだ歯は生えていません。何とも和やかな親子の情景です。

この赤ちゃんが、次第に成長して小学校へ入ります。
運動会の日、仕事で行けなかった父親が家に帰ってくるなり、「今日はどうだった?」と聞きます。
「かけっこで一番をとった!」父親は大喜びです。
「ビリだった」これでもやはり父親は喜んでいます。
親にとって、結果は関係ありません。運動会に出られるほど成長したことが嬉しいのです。ケガのなかったことが嬉しいのです。

こうして両親の親心に守られて、子供は成長していきます。次第に力強く、たくましくなっていく子供に対して、親の方は次第にしわが増え、腰が曲がり始めます。
それでも、やっぱり子供は可愛いもの。六十歳を越えた息子が旅に出る時、八十を越えた母親が玄関まで見送りに来て、何を言っているのかと思うと、「電車の乗り降りには気をつけなさいよ」。子供はいくつになっても、親の目には子供なのですね。

春になって、家の軒に巣を作ったツバメが、たくさんの子供にエサを運んできます。親ツバメは、自分が疲れていようが、エサ集めに危険が伴おうが、そんな事は意に介さず、せっせとエサを集めては、子供たちに万遍なく与えています。
これはなぜでしょう。親にとって子供とは、自分の命の延長なのです。生まれてすぐの子供は弱くて小さい存在ですが、親がかばうことによってのみ、その生命を維持し、成長を遂げていきます。

もしも、この幼子に対する母親のような心で、すべての人々が接し合えば、この世は本当に穏やかな世界になることでしょう。しかし、現実の世界はそう簡単にはいきません。各々が自らの欲望のために動くとき、互いに利益を求め争うような、浅ましい世界が表れてきます。
このようなゆがんだ生活のままで、この世界と人間を創られた元の親である神様が、どうして黙って見ていられるでしょうか。それゆえ神様は、互いにたすけ合う「陽気ぐらし」の姿が、人間本来の生き方であることをお教えくだされたのです。

この神様の親心に応えるべく、私たちが陽気ぐらしを目指してどのように心を入れ替えるべきか。これをしっかり考えていかなくてはならないと思うのです。

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