憩の家 がん患者・家族のサロン開設(9月22日)

■2010年10月1日

病む人の“憩いの場”に
がん患者・家族のケアへ
院内にサロンオープン


昭和56年以降、日本人の死因トップを占めている「がん」。昨年1年間にがんで亡くなった人は34万4千人余りで、総死亡者数の約3割に上る。生活習慣の変化や高齢化などに伴い、がん患者のさらなる増加が予測される現代にあって、医療技術の向上はもとより、患者本人やその家族への心のケアの必要性が叫ばれている。こうしたなか、厚生労働省から「地域がん診療連携拠点病院」に指定されている「憩の家」は9月22日、がん患者やその家族らを対象とする「サロン“いこい”」をオープンした。



「がん対策基本法」(平成18年制定)に基づく「がん対策推進基本計画」では、重点項目として「治療の初期段階からの緩和ケアの実施」を掲げ、患者のあらゆる苦痛を緩和する必要性を強調。これにより、医療は患者の心や暮らしにまで目を向けた“全人医療”へとシフトしつつある。厚労省では、全国377の病院を「がん診療連携拠点病院」に指定。各病院でさまざまな取り組みを進められている。

一方、開院当初から、病む人そのものに向き合う医療に取り組んできた「憩の家」では、一昨年2月に指定を受けたことを機に、既存の総合的な相談窓口とは別に「がん相談支援センター」を新設。医療ソーシャルワーカーや看護師らが横断的に対応する一方で、事情部講師を含む緩和ケアチームが、より一層患者・家族の心身に寄り添ったサポートを実践している。

今回スタートした「サロン」も、そうした取り組みの一つ。地域のがん患者やその家族らが集まり、心身の悩みや療養体験を語り合うもので、奈良県内の拠点病院では4カ所目の開設となった。