災救隊本部隊 「令和2年7月豪雨」被災地へ
被害甚大な熊本県で要請に応え初動救援
第1次隊 球磨川氾濫の1市2村で
九州・中部地方など広範囲に被害をもたらした「令和2年7月豪雨」。天理教災害対策委員会は7月13日、被害甚大な熊本県へ災害救援ひのきしん隊(=災救隊、田中勇文本部長)本部隊の派遣を決定。第1次隊として、本部隊をはじめ熊本・長崎・宮崎の各教区隊が出動した。
熊本県南部は7月3日、記録的な豪雨に見舞われ、4日未明には熊本、鹿児島の両県に「大雨特別警報」が発令。熊本県内では一級河川・球磨川流域の12カ所が氾濫し、なかでも球磨村渡地区や人吉市中心部では、広範囲にわたって浸水・人的被害が出た。
こうしたなか、災救隊熊本教区隊(深水真次隊長)が7月7日から10日にかけて管内の被災教会や布教所、信者宅へ出動。また11日には、田中本部長が現地入りし、被害状況の把握に努めた。
感染防止の対策徹底
熊本県社会福祉協議会では、今回の豪雨災害におけるボランティアの受け入れを、新型コロナウイルス感染拡大の状況に鑑みて慎重に協議。人吉市災害ボランティアセンターでのボランティアの募集を県内在住者に限定するなど、感染拡大の防止に努めつつ、被災地の復旧作業を進めることにした。
こうしたなか、球磨、相良の両村から直接、出動要請を受けた災救隊本部は、一般のボランティアとは異なる特別態勢で同県へ出動することに。地域住民との接触を可能な限り避けるため、公共施設での作業を優先することなどを両村の村長と申し合わせ、新型コロナウイルスの感染拡大を防止する対策を最大限講じたうえで、17日の結隊式に臨んだ。
宿営地では、施設内を定期的に消毒。隊員たちは、マスク着用や、隊服および手指の消毒、検温などを徹底して現地入りした。
活動初日の7月17日正午。隊員たちは準備を整え、3班に分かれて出動した。
作業現場の一つ、球磨村渡地区は、「大雨特別警報」が解除された後も継続的に雨が降り、土砂崩れなどが発生して、同地区へつながる国道が寸断。復旧作業が遅れ、被災から2週間が経ったこの日も、自衛隊が現地入りし、大型の災害ごみを搬出するとともに、道路の復旧作業を行っていた。
同地区の球磨川沿いに位置する渡小学校は、川の氾濫により校舎1階の天井まで浸水。グラウンドや周辺の道路にも汚泥が流れ込んでいる。
隊員たちは、気温26度の夏日となるなか、前日までの雨の影響で水を含んで重くなった汚泥を手作業で運び出す。さらに、重機を駆使し、通行不能となった小学校周辺の道路の土砂などを撤去した。
一方、別の班の隊員たちは、相良村から直接要請を受け、同村内の民家へ。家屋内に流入した流木や土砂の撤去作業に汗を流した。
また、甚大な被害に見舞われた人吉市中心部の球磨川分教会でも、家財道具の撤去などに当たった。
なお、第1次隊(7月17日~19日)では延べ182人が出動。20日に出動した第2次隊以降も、継続的に活動を展開している。
(2020年7月21日記)
大分、岐阜、山口、福岡の各教区隊も被災地へ出動
「令和2年7月豪雨」では、九州北部でも豪雨が発生。福岡、佐賀、長崎の3県で「大雨特別警報」が発令され、河川の氾濫や土砂崩れなどが相次いだ。
また、中部地方の岐阜・長野の両県で豪雨となったほか、中国地方の広島県、山口県などでも記録的な雨量を観測。各地で大規模な浸水被害が出た。
こうしたなか、大分、岐阜、山口、福岡の4教区隊は、各教区管内の被災した教会や布教所、信者宅をはじめ、地域のボランティアセンターや行政の要請に応えて、民家などで初動の救援活動に従事している。