「憩の家」医師ら 宮城の避難所で診療活動 リポート(4月20日記)

■2011年4月25日

天理よろづ相談所「憩の家」の医師ら8人は4月8日、奈良県医療救護班の第6班として宮城県気仙沼市へ。4月12日までの5日間にわたり、市指定の避難所である市立小原木中学校を拠点として、被災者の診療活動に力を尽くした。この活動は、奈良県の要請を受けた県内の各病院が、3月中旬から持ち回りで担当しているもの。医療従事者の不足が深刻な被災地での医療支援の模様を、天理時報4月24日号掲載のリポートから抜粋する。

今回派遣されたスタッフは、呼吸器内科副部長をリーダーに、腹部一般外科と総合内科の医師各1人、看護師3人、薬剤師1人、検査技師1人(このほか奈良県の連絡調査員1人が同行)。

一行は8日、三陸海岸沿いの唐桑町大沢地区にある小原木中学校に現地入り。一行は、前任の第5班からの引き継ぎを済ませた後、早速、診療と周辺地域への往診に取りかかった。

臨時の診察所となったのは同校体育館横の給食室。幕で仕切られた診察室のほか、薬剤調合・管理スペースや受付窓口、待合席が設けられた。

2日目以降の診察時間は午前9時から午後7時まで。患者の中には、避難所で暮らす人々はもとより、巡回バスや自家用車で足を運ぶ周辺住民の姿もあった。

同市内の病院35カ所のうち、被災したところも少なくなく、現在、診察可能な施設は半数以下の17カ所だという。

受診する患者の症状の多くは風邪。このほか、不眠を訴えるケースも多く見られた。

診察中、同院の医師たちは、こうした患者の震災発生当時の話に耳を傾けるとともに、「食事はきちんと取れていますか?」「ご家族は大丈夫でしたか?」などと語りかけていた。さらに待合席では、患者のもとへ駆け寄り、優しく声をかける看護師の姿があった。

一方、往診チームは、被害の爪跡が残る被災地を車で走り、依頼のあった個人宅や各種施設へ。

主な患者は、床ずれを起こしている要介護者や、骨折して不自由な生活を送る高齢者、高熱が続いている障害者など、いわゆる“災害弱者”とされる人たちだった。

こうした活動と並行して、スタッフは定期的に体育館内を巡回。被災者の健康状態の聞き取りとともに、生活上のアドバイスなども行った。

なお、期間中の受診者数は延べ145人(往診23人を含む)に上った。

(4月20日記、天理時報4月24日号から一部抜粋)

「憩の家」の医師たちは、次々と訪れる患者の診察に当たった(4月9日、小原木中学校で)


診療チームは、カルテや医療品などを携え、個人宅などを巡回した(4月9日、唐桑町大沢地区で)


□動画はこちら□