天理参考館蔵・西方伝来のガラス碗に新説(1月22日記)

■2012年1月25日

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天理参考館(岩井孝雄館長)では先ごろ、同館所蔵のガラス資料を蛍光エックス線で分析したところ、従来、ササン朝ペルシャ系とされていた「円形切子碗」2点に、ローマ系ガラスの原料が使われていることを確認、その旨を発表した。

これまで同様のケースは例がなく、世界初のローマ系切子碗である可能性もある。


一方、円形切子碗と同形の正倉院宝物「白瑠璃碗」にも注目が集まっている。

現時点では、白瑠璃碗はササン朝ペルシャ系ガラスと判別されているが、今後、蛍光エックス線分析がなされれば、円形切子碗と同様にローマ系である可能性が高まるという。


日本のガラス文化は、弥生時代前期(紀元前7世紀ごろ)、中国から伝播したことに始まる。古墳時代以降、古代のローマ、ペルシャなどからシルクロードを経て、さまざまなガラスが渡来するようになった。

当時、東方交易の際、ササン朝ペルシャは陸路を使ったのに対し、ローマは海路が主なルート。

白瑠璃碗がローマ系と判明した場合、海路で渡来した見方が強まり、シルクロード研究の進展にもつながる可能性があるという。

天理参考館では現在、新春展「シルクロードを彩る人工の華 古代ガラス」を開催中。話題の円形切子碗をはじめ、115点のガラス資料を公開している。


会期 3月5日(月)まで

開館時間 9:30~16:30(入館は16:00まで)


■関連イベント■

≪公開講演会「トーク・サンコーカン」≫

日時 1月28日(土)13:30

テーマ「古代ガラス研究の現在――西アジアから地中海沿岸地域」


日時 2月25日(土)13:30

テーマ「シルクロードのガラス――ササン朝ペルシアからイスラーム時代」


≪列品解説≫

1月26日(木)14:30

2月27日(月)13:30


【問い合わせ】

天理参考館

℡0743-63-8414

URL=http://www.sankokan.jp/