(天理教の時間)
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第1280回2024年5月3日配信

そこにある幸せ

山本達則先生 IMG_1557
山本 達則

文:山本 達則

第1260回

東京スカイツリーから、こんにちは ~赤ちゃん食堂、始まりました!~

「子供と二人きりでの食事が不安でたまらない」。そんなママさんの声に応えようと、赤ちゃん食堂を始めることに。

夫婦のあり方

 

現在、私たちは、いにしえから絶え間なく続く夫婦、すなわち男女の営みを基盤として存在しています。夫婦の間に子どもが生まれ、家族が形成される。さらには、その家族を基本単位として社会が構成されていく。豊かな人間社会を築いていく上で、夫婦の和、そして家族の一手一つの和が大きく影響してきます。

親神様は、人間を創造されるに当たり、夫婦の雛型にしようと、男女それぞれについて道具を引き寄せられましたが、いずれの場合も、「その一すじ心なるを見澄ました上」でもらい受けられています。つまり、夫婦というのは、人間が本来の性質として持っている「一すじ心」に基づくものであると言えます。

お言葉に、

  ふたりのこゝろををさめいよ(四下り目 二ッ)
  なにかのことをもあらはれる

  ふうふそろうてひのきしん(十一下り目 二ッ
  これがだいゝちものだねや

とあります。

どんななかでも夫婦が心を一つに治め、感謝の心でひのきしんに励ませてもらうことによって、親神様のご守護の世界が開かれていくことを教えられています。

夫婦が力を合わせて通るお手本を、先人の歩みに求めてみます。

明治十五年、教祖が奈良監獄署に拘留された際、梅谷四郎兵衛さんはお屋敷から差し入れに足繁く通い、大阪で留守番をする妻のタネさんは、教祖のご苦労を思い、毎日蔭膳を据えお給仕をしていました。この時、教祖から「四郎兵衛さん、御苦労やったなあ。お蔭で、ちっともひもじゅうなかったで」とのお言葉を掛けられています。(教祖伝逸話篇106「蔭膳」)

また、平野楢蔵さんとトラさん夫妻は、「教祖のことを思えば、我々、三日や五日食べずにいるとも、いとわぬ」と心を定め、夫婦でおたすけに奔走しました。その頃、お屋敷へ帰らせて頂くと、教祖は、「この道は、夫婦の心が台や。夫婦の心の真実見定めた。いかな大木も、どんな大石も、突き通すという真実、見定めた」とのお言葉をくださいました。(教祖伝逸話篇189「夫婦の心」)

現代においても、夫婦のあり方があらゆる面で大きな影響を及ぼします。夫婦によって築かれた家庭が、愛情と思いやりに満ちたやすらぎの場となる場合もあれば、逆に欲望に振り回され、身を滅ぼすことになる場合さえあります。夫婦の治まりが、陽気ぐらしの要であることを胸に置きながら、日々勇んで通りたいものです。

 


 

東京スカイツリーから、こんにちは
 ~赤ちゃん食堂、始まりました!~

吉永 道子

 

子育てひろばを利用している親子は、お弁当を用意し、お昼ご飯を一緒に食べます。そんな中、K君のお弁当は、例えばある日は甘い揚げパンだったり、同じ物ばかりがたくさん入っていて、それをひたすら食べ続けるのです。そして自分の分を食べ終えると、今度はお友達の持ってきたものを食べたがります。K君のママはこのことが不安で、ひろばを利用するのに誰もいないNPO法人子育てひろば「かぁかのおうち」では、旬の食材を使った離乳食を10組の親子で食べるイベント「赤ちゃん食堂」を開催しています。これは、食を通して親子が楽しく過ごす場を提供し、また月齢の近い子供を持つママさん同士の交流を図ることを目的としています。

きっかけは、子育てひろばを利用しているK君のママの、「いつも子供と二人きりでご飯を食べていることが、不安でたまらない!」という一言でした。すると、他にも離乳食で悩んでいるママさんが多いことに気がついたのです。

時間帯を選んだり、食事の時間を避けたりするようになりました。

そしてK君が一歳を迎える頃、ひろばで「かぁか」と呼ばれている私に、ママから相談がありました。「離乳食の食べ方を保健師さんからアドバイスされても、まったく思うようにいきません。どうしてみんなと同じように食べられないのでしょう?」と。ママは、子供と一緒に楽しく食事をすることを忘れてしまっているようでした。

ある日、K君の一時預かりの申し込みがありました。その中には離乳食の時間があり、スタッフは同じ日にお預かりしていたIちゃんとK君を、同じテーブルで一緒に食べさせることにしました。

「はい、あ~ん。ほ~ら、おいしいね~」

IちゃんもK君も、大きな口を開けて、おいしそうに食べています。

「あら、よく食べたね~。お弁当箱がピッカピカ!」

この二人の光景をスタッフが動画に撮り、K君のママにLINEで送りました。

ママはビックリ!「こんなに楽しそうにご飯を食べられるなんて…」

食事に問題のないことが分かったママは、心のモヤモヤが取れ、それまで迷っていた発達に関する療育相談を受ける決心をしました。こうしてママは、K君の心と身体についてより理解し、寄り添うことができるようになったのです。

私はこの経験から、一緒にご飯を食べたりお茶を飲むことが、こんなにも大切なことなのだと感じ、赤ちゃん食堂を毎月開催することに決めました。

毎月、新規の方の申し込みがあり、定員がいっぱいになります。一度参加したママさんがお友達に声を掛け、一緒に連れて来てくださることが多くなりました。

毎回、ママさんから嬉しいコメントを頂きます。

「季節の野菜を使って、とても美味しいご飯が食べられました。娘はとても満足そうで、うちでは出来ない手づかみ食べができて、楽しいランチになりました」

「初めてうち以外で離乳食を食べました。たくさんのお友達と一緒にご飯を食べられて、いい経験になったと思います」

「うちでは立ち上がったりぐずったりすることもあるので、少しでも楽しんで食事ができるように、参考にしたいと思います。何より、まわりのお友達を見ながら食べるということが、本人の食べる意欲につながっていると感じるので、また参加したいです」

「講師の方ともお話ができ、不安な点を解消してくださったり、前向きな言葉を頂けて嬉しかったです」

かぁかのおうちの赤ちゃん食堂は、参加したママたちの口コミで地域に拡がっていきました。このイベントは天理教の教会で開催していますが、ある時、活動に興味があるというキリスト教会の方が見学に来られました。

ひと通り活動をご覧になった後で、「なぜここのスタッフの方たちは、参加者にここまで優しく寄り添えるのですか?」と聞かれました。私は、「では、出張赤ちゃん食堂をさせてください」と申し出て、後日、スタッフを連れてキリスト教の施設で開催し、大勢の方に体験して頂くことができました。

その日の夜、施設の方からメールが届きました。

「本日はありがとうございました。あの、優しくておいしい離乳食を食べた子は、健康で元気な子に育ちますね。全然トゲトゲしていないお味で感動しました。この赤ちゃん食堂が、もっともっと広まるといいですね。次回が今から楽しみです」

かぁかのおうちが、スタッフ一同で親子に寄り添い、みんなで楽しく過ごせる場を提供し、地域のつながりを生んでいく。そこに神様のお働き、お引き寄せを強く感じています。

今日も皆さんで一緒に「いただきます」。そして感謝を込めて「ごちそうさまでした」。おなかも心もあったかくて、いっぱいになりました。

(終)

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