第1172回2022年4月2日・3日放送
忘れられたフィルム
現像されずに眠っていた古いフィルム。そこには、私が子育てで心を病んでしまった頃の家族の姿が。
人は死んだらどうなるの?
四歳の娘さんに、「人は死んだらどうなるの?」と突然聞かれ、困ってしまった主婦のAさん。普段聞いている天理教の教えをもとに、「人はねえ、またこの世に生まれかわってくるのよ」と答えたのですが、理解してもらえるかどうか不安だと言います。
天理教では、人の死を「出直し」と言います。この言葉は人生の終わりを意味するとともに、またこの世に生まれかわってくるという意味も含んでいます。いずれ、ちょうどいい時期に、縁のあるところに赤ちゃんとなって再び帰ってくる。ですから死は、次の新しい人生につながる中継地点でもあるわけです。
人の出直しについて、教祖・中山みき様「おやさま」は、古い着物を脱いで、新しい着物と着がえるようなものだと教えてくださいました。
まだ生まれて数年しか経っていない子どもにとって、死は遠い先の話だろうと大人は思いがちです。しかし、子どもだからと適当にごまかすのではなく、真剣に応えることが大切ではないでしょうか。ひょっとしたら、生まれかわってきて間もない子どもにとって、「死」は、大人が思う以上に身近なことなのかも知れません。丁寧に説明するとともに、もし死に対して不安や恐怖を感じているなら、それを取り除けるようにしてあげたいものです。
お言葉に、
「親が子となり、子が親となり」(「おさしづ」M34・9・23)
とあるように、私たちはこの世に何度も生まれかわっては、お互い立場が変わっても、また縁のある人たちと出会って人生を歩んでいくのです。
もちろん、誰が誰の生まれかわりだ、などということは、私たちの理解の及ばぬところです。
お言葉に、
「後々誰の生まれ更わり言えば世界大変。誰がどう、彼がどう、とは言わん」(「おさしづ」M31・4・29)
とあるように、生まれかわりが分かるということには、いい面ばかりではなく、あの人は前生で私たちの家族にひどいことをした、なんていうマイナスの面も分かってしまうわけですから、そこは神様が見えないようにしてくださっているのです。
目の前にいるのは、前生か、もしくはそれ以前に自分がお世話になった恩人かもしれない…。そう考えると、我が子に対してだけではなく、周囲でめぐり会うどんな人々にも、親切にしたり、喜んでお世話をすることが大切だと思えてきます。
出直しとは、陽気ぐらしに向かう再出発であり、実に明るく前向きな教えです。私たちは、生まれかわりを繰り返しながら、一歩一歩、陽気ぐらしへと近づいている。そう信じながら、いま生かされている日々を、全うしたいものです。