
先日、出張先の都会を歩いていると、ガラスに映る自分の姿に気づきました。ガラスの後ろが暗いせいか、まるで鏡のように全身が綺麗に映し出されています。
年齢を重ねるごとに、だんだん興味がなくなるのは、鏡に映る自分の姿です。特に近年は、若いころのように、ゆっくり鏡を眺めることはなくなりました。久しぶりに見る自分の姿は、なんだか別人のようにも感じます。
ふと、記憶に残る父親の姿が、ガラスに映る自分の姿に重なるような気がしました。
「何でも彼でも心尽さにゃならん。心尽せば固まりて来る。少々では固める事出けん」
父親らしい振る舞いや決意もできていないのに、いつの間にか父親になり、大人になった意識もないままに、年齢だけは中年の域を超えてしまいました。いったい、いつになったら”立派な大人”になれるのでしょうか……。
「○○らしさ」を求めるよりも、「○○として」生きる自覚を持つことが大切なのは、わが子を初めて抱き上げたときに実感しました。人は大人らしく振る舞うことではなく、大人としての自覚を持つことで大人になるのです。
若い人たちには、いつも偉そうに諭しているのですが、皺ばかりが増えている、ガラスに映る自分の顔を見ていると、まだまだ自覚が足りないと感じます。(岡)