おやのことば 9月19日

先日、古い和風建築のほぞ組みの模型を見ました。複雑に切り込んだ「ほぞ」を「ほぞ穴」にはめ込み、見事に柱や梁を組み上げていきます。ほぞとほぞ穴をピタッと組み合わすと、しっかりと固定されて、ぐらつくことはありません。堅固でぐらつかない家を建てるためには、それぞれの建材の凹凸を互いに隙間なく補い合うことが大切なようです。

美しく仕上げられた接合面を見ていて、夫婦や家族の関係について考えたのは、きっと私だけではなかったはずです。特に夫婦の心や行動は、互いに足りない部分を補い合い、支え合うものでなくてはならないでしょう。

20年以上も一緒に暮らしてきていまにして感じることは、たとえ年限を重ねた夫婦であっても、物事の感じ方や考え方、行動のパターンなどは、決して同じにはならないということです。

「これ夫婦いんねん見て暮らす、見て通るいんねん、よう聞き取れ\」

とはいえ、こちらの考え方を相手に押しつけるのは禁物です。大きさや形の合わないほぞ穴に、ほぞを無理やりはめ込むことはできません。

相手のあり方に合わせて、こちらを削り、あちらを磨いていくうちに、継ぎ目のピタッと合わさった夫婦になり、互いに自分自身を成人させていくことができるのでしょう。

まず、相手から学ぶ姿勢を持つことが大切ですね。(岡)

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