おやのことば 9月15日

最近、道に迷うことが少なくなってきました。”人生の道”のことではなくて、目的地へ向かう道のことです。

生きることへの迷いは尽きませんが、インターネットの地図情報サービスやカーナビのおかげで、ほぼ迷うことなく、予定した場所にたどり着けるようになりました。ただ、地図を片手に知らない町を歩き回っていたころが懐かしい、と感じることもあります。道に迷って路傍に腰かけ、空を見上げたり街並みを眺めたりすることが少なくなったように思います。

行くべき道が分からず、不安になっても、まず尋ねるのは人ではなくて機械です。旅先で誰かに声をかけ、道を尋ねる機会も極端に減ったような気がします。

「めん\又向うへ越す。道に廻り\の道がある」

無駄を廃して、時間や労力を節約することはもちろん大切です。でも、無駄と思える時間も大事ではないか――などと考えている段階で、もう時代の波に乗り遅れているのかもしれません。携帯電話の画面を見ながら街中の交差点を通過していく人々を見ていると、たまには目線を変えることも必要ではないかと感じます。

かつて、評判の店が見つけられず、偶然立ち寄った店のラーメンが大好きになったこともありました。回り道も、こちらの気持ち次第で楽しめることを、忘れないでいたいものです。(岡)

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