おやのことば 8月22日

毎年、この時期は外へ出かける機会が多く、慌ただしく荷物をまとめて電車に飛び乗ることが少なくありません。出発の直前まで、ほかの用事をしていることもあって、いつも妻が荷造りを引き受けてくれるのですが、自分で準備しないと、とかく忘れ物が多いのです。

先日も、電動式カミソリを入れ忘れたので、久しぶりに普通のカミソリでひげを剃りました。若いころからカミソリ負けをしやすく、すぐに出血するので、電動式カミソリを使うようにしているのです。

かなり慎重に剃ったのですが、やはり何カ所か出血しました。特に、あごの左下に大きな傷ができていて、しばらく指で押さえても血が止まりません。

「腹の立つ処立てんようさんげ。善い事思わんから腹が立つ。皆さんげという」

鏡の前に立って、何度か悪態をつきました。傷口を押さえているティッシュペーパーが赤くにじむのを見ていると、また腹が立ってきます。

傷口を見返しているうちはイライラしていたのですが、ふと鏡に映る自分の姿に目をやると、服装から髪型まで、いつも妻が気にかけてくれていることを思い出しました。こうして何の心配もせずに出かけられるのも、彼女のサポートがあるからです。

そう思うと、ティッシュペーパーを押さえる指の力も抜けてきました。また、反省の種が一つ増えたようです。(岡)

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