おやのことば 8月11日

この夏は、留学中に知り合った旧友たちと相次いで再会する機会に恵まれました。

アメリカの大学は、日本の大学よりひと月くらい早く夏休みに入ります。友人の一人は、久しぶりに日本を訪れる機会があり、こちらの情報をインターネットで探して訪ねてくれました。20年近く連絡を取っていなくても、名前と簡単な情報を覚えていれば連絡先を調べられるのですから、便利な時代になったものです。

2回ほど電子メールでやりとりをした後、JR奈良駅の改札口に友人を迎えに行きました。

もう20年近く会っていません。すぐに本人と見分けられるでしょうか。少し心配していましたが、かなり離れた地点でお互いに気がつきました。大きく手を振ると、向こうも笑顔で手を振り返してくれました。

「ほんに成程。本人と本人、顔と顔、心と心、三つ寄せたら分かる」

奈良市周辺の名所を案内してから、本部神殿を訪れました。

参拝を済ませ、回廊を歩いていると、回廊拭き用の布巾が気になったようです。一緒に回廊を拭きながら、近況を語り合いました。

当日は猛暑日でしたが、回廊を吹き抜ける風が心地よく、静かなひと時を過ごせました。

とても長い時間を隔てているのに、かつて毎日顔を合わせていたころと同じように感じます。20年前と今日が変わらない。時間というのは、不思議なものですね。(岡)

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