おやのことば 6月30日

本格的な夏の到来を前に、窓の外で鉢植えのアサガオを育てる光景を見かけるようになりました。

私もかつて、アサガオの栽培に凝った時期がありました。小さな種を蒔いて水をやり、アサガオの蔓を巻きつける支柱やネットを準備します。私の場合は鉢植えではなく、地面に直接種を蒔いたので、木の棒を組んだ垣根を作りました。

成長の速いアサガオは、毎日の変化が目に見えて分かるので、園芸の初心者にも楽しく育てられます。伸びてきた蔓を掛け替えたりしているうちに、最初の年のアサガオはかなり大きくなり、自宅の裏庭の通路を覆うほどになりました。

「日々嬉しい一つの種は、一粒万倍に成りて日々治まりて来る」

秋になって、枯れたアサガオから種を採り、新聞紙に広げて乾かすと、両手にあふれるほどの量になります。これを3、4回と繰り返すうちに、アサガオの咲く範囲が広くなり、裏庭にあった大きな木にも絡みついて、道行く人たちが記念写真を撮っていくほどになりました。

小さな種が年限を重ねるうちに大きく広がっていく。アサガオの蔓は、今年はどこまで伸びていくのか。計算できないからこそ、先の楽しみがあります。

この家を離れることになったとき、成長したアサガオをそのまま残してきました。まだあのアサガオは、裏庭で花を咲かせているのでしょうか。離れた場所なので、なかなか確かめに行くことはできませんが、思い出の中では、今年も満開の花を咲かせています。(岡)

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