おやのことば 6月15日

例年のことですが、いまの時期が一年中で最も忙しく、手帳にびっしりと書き込まれたスケジュールを見て、思わずため息が漏れることもしばしばです。

早くこの時期が通り過ぎてほしい。居眠りをして、目が覚めたら秋になっていないだろうか……などと不謹慎なことを考えていて、今回のお言葉に目が留まりました。

「先を見れば長い、後を見れば短い」

先を急いでいるときには、長く感じる山道も、山頂から振り返れば、逆に短く感じるものです。そう思って、昨年の同じ時期のスケジュールを見返すと、まるで昨日のことのように、その時々の情景が目に浮かんできます。

でも、あらためて思い返してみると、むしろ楽しい思い出や心地よい充実感ばかりが残っているようです。まだ先があるのか……と、ため息をついているときが、本当は一番充実している時間なのかもしれません。

いつか人生を振り返ったとき、心に残っているのは、きっとこうした出来事なのでしょう。限られた人生の時間を考えれば、むしろ長く感じられるような、密度の濃い時間のほうが大切なのかもしれません。

揺れる電車の中で、ノートパソコンに向かって、こんな感慨をしたためていると、今年も密度の濃い時間を過ごせていることに、不思議と感謝する気持ちが湧いてきました。(岡)

ページの先頭へ