
この原稿を書こうと机に向かって気がつきました。明日は私の誕生日です。
最近は、夕食時に缶ビールをもらう程度ですが、子供のころは何かプレゼントをもらっていたような気がします。でも、現在まで残っている品物はありません。
それよりも、いつも母が誕生日に作ってくれたご馳走の記憶のほうが、鮮やかな記憶として残っています。決してぜいたくな食事ではなかったのに、とても幸せな気分になりました。
「いつまで皆々思う/\やない。一代二代、長い心になりて切り無しと言うてある」
形のあるものは失ったり、壊れたりしますが、思い出はいつまでも心に残ります。だから、結婚して家族ができてからは、子供や家族の記念日には、なるべく家族一緒に食事をするようにしてきました。子供たちには、それぞれお気に入りの母の手料理があり、いつも記念日の前にリクエストしています。この記憶は、また形を変えて次の世代に引き継がれるのでしょうか。
このおいしい料理の思い出と一緒に、和室にお祀りしてあるお社に家族で毎日手を合わせた記憶も、次代に伝えてもらいたいものです。日焼けした古いお社は、いつか取り替える日が来るでしょう。でも、家族が共に心を合わせて祈る喜びと幸せは、ずっと受け継いでもらいたいと思っています。(岡)