
足早に春が通り過ぎて、もう初夏さながらの太陽がまぶしい季節になってきました。
この時期の山里は、草刈りに忙しい季節です。日一日と背丈が伸びていく雑草は気になるのですが、なかなか手をつけられません。先日、ようやく重い腰を上げて、生い茂った草を一気に刈り取ると、毎年少しずつ植生が変わっていることに気がつきました。
最初は笹や萱といった硬くて背丈の高い草が多く、ほとんど原野のような状態だったのですが、何度も刈り続けているうちに、くもの巣のように張り巡らされていた笹の根も消えて、手を入れやすい草花に変わってきたようです。いまでは草刈りを終えた後の緑が絨毯のようになっていて、思わず寝転んで空を見上げました。
「又春になりたら、春に勇んでおくんなはれや」
毎年、同じことを繰り返しているようでも、今年の春は、昨年の春と同じではありません。自然の世界も、身近な世界も、自分自身も少しずつ変わっています。
昨日を生きた自分の人生が、今日の自分の姿に現れてくる。良くなったと思えることもあれば、反省すべきこともあるでしょう。でも、大切なことは、昨年とは違う春を、今年も喜びながら生きていくことです。
数年前に汗を拭きながら掘り起こした萱の根の跡には、小さなかわいらしい花がたくさん咲いていました。
今年も、今年の親神様のご守護に心から感謝しています。(岡)