先日、運転中に交差点で信号待ちをしていると、歩行者用の信号が青色に変わる直前に、年配の男性がゆっくりと歩きだしました。歩車分離式信号のある交差点なので、横断歩道を渡るのではなく、交差点を斜めに渡っていきます。
最初は「もうしばらく待てばいいのに……」と少し苦々しい思いで眺めていましたが、男性の歩く姿を見ているうちに、自分の身勝手な考えを反省しました。
杖を頼りに歩くゆっくりとした足取りでは、青信号の時間内に、広い交差点を斜めに横切るのは難しいのです。早めに歩きだしたのは、時間内に交差点を渡りきるためでした。
もちろん、交通規則は順守しなくてはいけませんが、この男性の事情も理解できます。 「事情他人の事と思わず、救けにゃならん救からにゃならん心以て、互い互い理を以て運ばにゃならん」
毎日の生活の中で、他人の行動を自分の尺度だけで評価したり、理解したりすることは少なくありません。
でも、人にはそれぞれ事情があります。10メートルの距離を数秒で歩くことに何の困難も感じない人もいれば、同じ距離をようやくの思いで歩ききる人もいるということを忘れてはならないでしょう。特に、老いは誰もが避けて通ることはできないのですから……。
いつも相手の立場に立って、物事を理解し、判断する姿勢が大切ですね。(岡)