災救隊 自治体の要請受け訓練
東日本大震災から2年3カ月。各自治体が地域の防災計画の見直しや家庭における非常食の準備の呼びかけなどを行う一方、国では先ごろ、「南海トラフ巨大地震」の被害想定を発表した。
こうしたなか、災害救援ひのきしん隊(=災救隊)では、地震や豪雨といった自然災害に見舞われた数多の被災地に駆けつけ、救援活動に取り組んできた過去の経験や実績を生かし、日ごろから行政やボランティア団体と連携しつつ訓練を重ねてきた。
5月29日から31日にかけては、「中国・四国ブロック訓練」を徳島県佐那河内村で実施。一方、兵庫教区隊も同時期に、兵庫県洲本市で訓練を行った。
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緊急道路の復旧に尽力 中国・四国ブロック(5月29日-31日)
この訓練に参加したのは、徳島、高知、愛媛、香川、岡山、広島、鳥取、山口、島根の9教区隊計359人。期間中は、災救隊本部が指揮を執った。 今回の作業は、佐那河内村の山の中腹にある林道の整備と復旧がメーン。谷川の際を縫うように走る全長約620メートルの林道は、本来なら、山火事などが発生した際に緊急車両が走る道。だが、コンクリートの路面が大量の土砂と枝葉に覆われ、道幅は車1台がようやく通れるほど。車線の幅を示す目印がなく目測を誤ると谷に転落する危険があり、谷のそこかしこには倒木が折り重なっていた。 同村では、人口が毎年減少する一方で、緊急道路の復旧に役場の手が回らず、関係者が「長年手つかずの状態で、復旧は無理だと諦めていた」と言うような状態だったという。 隊員たちは、運搬と倒木の撤去に当たったほか、谷の中腹の倒木を伐採した。また、道幅が特に狭く谷沿いの側面が不安定な場所などでは、鉄線で組んだ籠に石を詰めたものを数段重ねで設置して補強した。 3日間の作業で、土砂が堆積していた“泥道”とは打って変わって、元のコンクリート道が現れ、道の端は、倒木や積石を並べて通行の安全を確保。散策コースのような美しい林道がよみがえった。 また期間中、隊員たちは果樹園の下草刈りと雑木伐採にも従事。林道整備と合わせて、運んだ土砂の量は2トントラック40台分と軽トラック10台分、伐採した雑木は約1180本に上った。 [隊員たちは重機を使いながら、約620メートルの林道整備を行った(5月31日、佐那河内村で)]◇