おやのことば 1月6日

子供のころ愛読していたクイズ本の巻頭に、何枚かのだまし絵が紹介されていました。

一枚の絵が、見方によって二通りに見えたり、背景によって直線が曲線に見えたりする絵です。歪んで見える円が実は正円であったり、ウサギの耳に見える部分がアヒルのくちばしにも見えたりする絵を前にすると、なんだか不思議な気持ちになって、何回も飽きずに見直したものです。

大人になってさまざまなことを経験し、物事は一面的に理解できないことが分かってくると、だまし絵にも、また違った趣を感じるようになってきました。

「事情に善いと思うても悪い事もある。悪いと思うても善い事もある」

自分にとって都合が良いと思っていたことが、結果的に重荷になることもある。そうかと思えば、「なぜ自分が」と思いながらやってきたことが、いつの間にか自分を支えてくれていることに気がついて、感慨にふけることもあります。

かつて、だまし絵に心を引かれたのは、こうした人生の本質を予見させてくれたからでしょうか。

一枚の絵が、ウサギの絵なのかアヒルの絵なのか――。

そのどちらかを決めるのは、やはり受け手の考え方次第といえるでしょう。善い絵にするのも悪い絵にするのも、結局は自分次第。40年近い歳月を経て、最近では、こんなふうに考えています。 (岡)

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