おやのことば 11月1日

子供のころ、不思議に思っていたことの一つが、大人の朝のあいさつでした。

いつも「おはようございます」と声をかけた後に、「今日は良い天気ですね」とか「雨になりそうですね」などと、その日の天気の話題が続きます。もちろん、天気を気にしない人もいますが、一般的なあいさつとしてかなり定着しているのではないでしょうか。

当初は形式的なあいさつだと思っていましたが、大人になって少し考えが変わってきました。昨日の出来事は、たいてい思い出すことができます。しかし明日の出来事を、あらかじめ知ることはできません。予測はできても、予想通りにいかないのが人生です。

その日の天気は、「今日」という日がどういう日なのかを最初に確認する”バロメーター”なのかもしれません。

「今日の日は今日に分かる。明日は分からん」

子供のころに天気を気にかけなかったのは、明日に対する不安よりも、明日への希望のほうがずっと大きかったからでしょうか。「人生はなかなか思い通りにはならない」ということを何度も経験するうちに、だんだん憶病になっていくのかもしれません。

今日は朝から雨模様。傘を用意して、子供たちに長靴を履かせましょう。雨の日には、雨の日を楽しく過ごす方法がある。これも大人になって学んだことの一つです。(岡)

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