おやのことば 9月25日

家の戸締まりをして車に乗り込み、エンジンをかける。行き交う車に注意を払いながらハンドルを切り、幹線道路に出たところで不意に「裏口の鍵を閉めただろうか……」と、不安になることがあります。

一人で運転しているときは「たぶん大丈夫」と考えて、そのまま進んでいきますが、助手席に妻がいるときは、必ず「本当に大丈夫?」と聞き返されます。本当に大丈夫なのか、と問われると確信はありません。

「いや、どうだったかな……」などと歯切れの悪い返事をするうちに、ついには途中で引き返すことになります。

「案じては案じの理を回る。案じは要らん、と、大きな心を持ちて理を治め」

人間の記憶は百パーセント確実ではありません。だから、あらためて記憶を確認されると不安になります。

また、次に起こる出来事を予測することはできません。だから、現在の行動が本当に正しいのかどうか、あらためて問いただされると、それに答えることは難しい。

曖昧な記憶をもとに、先の不安を抱えながら、現在を生きている人間が本当に安心するためには、間違いのない道を通っているという確信が不可欠でしょう。でも、自分を頼りにするだけでは、「本当に大丈夫」という確信は得られません。

だからこそ、今日も原典をひもとくのです。(岡)

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