おやのことば 7月2日

まだ、小学生だったころのことです。テレビの特集番組で「脳」の働きが紹介されていました。人間の心の動きや感覚、記憶などはすべて脳の働きの結果として生じている、といった内容だったと思います。

番組が終了したのは夜遅くだったので、すぐに布団に入ったのですが、なかなか寝付くことができません。すべては脳の働きなのだとしたら、死後に体が灰になれば、今ここで考えている「自分」はどこへ行くのか。何か底のない、深い穴に引き込まれるような感覚に襲われて、父の所へ相談に行きました。

教会長であった父から教理を聞いた経験は、ほとんど記憶にないといってもよいのですが、このときは真剣に話してくれました。人は「死ぬ」のではなく、「出直す」のだということ。古い着物を脱いで新しい着物に着替えるように、また生まれ変わってくるのだ、といった教えを伝えてくれました。この父の言葉がすっと心におさまって、ぐっすり眠ることができました。

「生まれ出る日があれば、出直す日もある」

この世界に生を受けた以上、人は必ず「死」に直面せざるを得ません。しかし、「死」はすべての終わりではない。人間創造の目的である「陽気ぐらし」世界の実現に向けて、生命は連綿と紡がれていくのです。私たちは教祖を通して、人間の側からは答えることのできない、このような人生の意味を与えられている。こうしたことも、信仰の喜びの一つではないでしょうか。(岡)

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