穴井選手5大会連続優勝 全日本選抜柔道体重別大会(4・5)

■2009年4月22日

8月にオランダ・ロッテルダムで開かれる「世界柔道選手権大会」の日本代表最終選考会を兼ねた、平成21年「全日本選抜柔道体重別選手権大 会」が4、5の両日、福岡市の福岡国際センターで開催された。男子100キロ級では、天理大学職員の穴井隆将選手(24歳)が世界ランキング1位の実力を 遺憾なく発揮し、4年ぶり2回目の優勝。初の世界選手権出場を決めた。また、天理大OBの江種辰明選手(32歳・警視庁)は、男子66キロ級決勝で北京五 輪金メダリストの内柴正人選手(30歳・旭化成)に惜しくも敗れ、準優勝となった。

負け知らずで世界選手権へ

穴井選手は、昨年11月の講道館杯を皮切りに、翌12月の嘉納杯、2月のフランス国際、ドイツ国際を相次いで制する快進撃。今年から導入された世界ランキング制で、いまだ負け知らずの1位を独走する。 今大会は、北京五輪代表の鈴木桂治選手が階級を一つ上げたため、ライバルはいない。関係者の前評判でも、世界ランク1位である穴井選手の優勝を疑う声はなかった。 試合前のインタビューで穴井選手は「優勝しか考えていない。内容のある柔道を心がけ、世界選手権に向けて弾みをつけたい」と意気込みを語った。 1回戦では終始、試合のペースを握り、得意の「内股」で一本勝ち。続く準決勝では、組み手を嫌う相手の袖を素早くつかみ、「大外刈り」で技あり。その後も内股で技ありを奪い、合わせ技一本で勝利を収めた。 迎えた決勝戦。両選手とも積極的に技を仕掛けるも、互いに決め手を欠き、時間だけが刻々と過ぎる。 膠着状態を破ったのは、穴井選手だった。開始3分41秒、大外刈りを仕掛けて有効。そのまま優勢勝ちとなり、4年ぶり2回目の優勝を決めた。 優勝インタビューの中で穴井選手は「オール一本勝ちを狙ったが、力んでしまい、技を出すタイミングが遅れた」と反省点を口にした後、「このまま世界1位を走り続けられるように頑張りたい。まずは世界選手権で優勝を」と表情を引き締めた。 大会後の代表選考会では、穴井選手の世界選手権100キロ級の初出場が決定した。 男子日本代表の篠原信一監督(36歳・天理大准教授)は「今大会の重量級は、代表候補が準決勝で敗れるなど波乱の展開だったが、そんな中で穴井は、優勝というはっきりした形を見せてくれた。世界の舞台でも〝一本を取る柔道〟を見せてほしい」と期待を寄せた。

(立教172年4月12日号)