おやのことば 9月30日

小さいころに読んだ絵本(か何か)に、一匹のサルの話がありました。内容はほとんど覚えていませんが、壷の中にバナナが入っていて、サルが手を入れてバナナを取ろうとします。しかし、壷の口は手が入るギリギリの大きさなので、バナナを掴んでいると手を抜くことができません。そのためサルは仕方なく、バナナを掴んだまま手を振り回すという内容だったと記憶しています。

その当時は、なぜ素直に手を離さないのかと不思議に思いました。でも、大人になって、これまでの人生を振り返ると、この寓話に重なるような経験がいくつも脳裏に浮かんできます。

子供のころ、友達と喧嘩した後で、小さなわだかまりを捨てきれずに先に謝ることができなかったこと。結婚して、妻のご飯の炊き具合がなかなか納得できなかったこと。仕事や家庭での小さなこだわり……。手を離せば、簡単に手を抜くことができるのに、どうしてもこだわりを捨てることができない。こういうことが少なくありません。

「生まれ児小児一つ心に成れ。生まれ児の心には何も欲しい物は無い」

小さな自分のこだわりを捨てられないときは、一度、大きな親神様の前で、自分自身を見つめ直してみることです。教祖を通して伝えられた、広大な親神様の親心と深遠な思召にふれるとき、小さな自分の殻が氷解し、まるで「生まれ児」のようにすっきりした気分になるのを感じるでしょう。

これから参拝に行ってきます。(岡)

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