(天理教の時間)
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第1275回2024年3月29日配信

年末に続いた子供の風邪

岡先生(掲載)
岡 定紀

文:岡 定紀

第1173回

ふうふうの関係

私の主人「めぐちゃん」の素直さは一級品。しかし、その素直さが時として裏目に出て、私が尻拭いをする羽目に!

ふうふうの関係

助産師  目黒 和加子

 

一般的に、プロポーズは男性から女性にするものとされていますよね。しかし、うちの場合は私から主人の「めぐちゃん」にプロポーズをしました。それは、めぐちゃんが神様にめっちゃ好かれる人柄であると見抜いたからです。その人柄を一言で言うと「素直」。素直な人はたくさんいますが、めぐちゃんの素直さは一級品。ただ、良いところと悪いところは表裏一体だと教えてくれたのも彼です。

今日は、私たち夫婦の「ふうふう」したすったもんだをカミングアウト。リスナーの皆さま、どうぞ笑ってください。

めぐちゃんは人柄の良さが顔にも言葉にも出るので、どこに行っても褒められます。「いいご主人様で、目黒さんはお幸せですね」という感じで。気が強くて頑固、何事もハッキリと物申す、大阪弁丸出しの私を支える優しいご主人、という構図に映っているのでしょう。

彼は勉強もよくできて、苦労知らずの良家のおぼっちゃま。世間ずれしていないので、人を疑うことを知りません。良いところも過ぎれば困ったことになるのは世の常ですが、素直過ぎて騙されやすく、英会話のCDや高級布団、ワンルームマンションまで買わされる羽目になりました。その尻拭いは、いつも私に回ってくる構図。過去の尻拭いの内容を言い出したら、とてもじゃないけど放送時間が足りません。

私は子どもの頃、自転車が欲しくても親の苦労を見ているので言い出せず、お小遣いやお年玉を貯めて、三年かけてやっと買うことができました。対してめぐちゃんは、「自転車が欲しい」と一言言えば、翌日には望みが叶う環境のお育ち。ですからお金の使い方を知りません。貧しい母子家庭で育った私とは真逆です。

結婚当初、一緒にスーパーに行き、買い物のイロハを教えました。例えば、マヨネーズ。

「キューピーと味の素。どっちのマヨネーズを買うか。値段が同じやったら、内容量を見て多い方にしいや。それも同じやったら、賞味期限の長い方にすんねんで」

「そうか、なるほど。和加ちゃんすごい!」と、こんな感じ。素直な彼は、優秀な買い物係となりました。

私は各地の教会で行われる「母親講座」に呼ばれ、出産についてのお話をすることがあり、仕事の合間に全国各地に出向いていました。その際、めぐちゃんも同行してスケジュール管理をしてくれるのですが、優先順位がめちゃくちゃ。

ギョッとしたのは、北海道での母親講座の帰り、新千歳空港でのこと。空港内のラーメン屋さんで札幌ラーメンを食べていた時、「飛行機の時間、何時やったっけ?」と尋ねると、「1415分発だよ」。

時計に目をやると、145分。搭乗手続きを済ませていたものの、なんと出発10分前!

「ラーメン食べてる場合とちゃうやん!」慌てて立ち上がる私。「5分で食べれば間に合うよ」とラーメンをすする彼。「何言うてんの、バスや電車とちゃうねんで!」搭乗口に向かって全力疾走。

「目黒さま~。羽田にご出発の目黒さま~。いらっしゃいませんか~」。

航空会社のスタッフが、金切り声で私たちを探しています。危うく飛行機に乗り遅れるところでした。

めぐちゃん曰く、「和加ちゃんが札幌ラーメン食べたいって言うてたから。母親講座でめっちゃ頑張ってたし、何とか食べさせてあげたいと思って…」

私の希望を素直に受けてくれたのでしょうが、札幌ラーメンの味、どっかに飛んでったわ!

数年前、めぐちゃんと一緒に母親講座へ向かう在来線の車内でのこと。新幹線に乗り換える小田原駅の手前で電車が止まり、「この先のポイントでトラブルがあり、停車します。しばらくお待ちください」と車内アナウンスがありました。

早めの電車に乗ったので、時間の余裕はあったはずでした。しかし、ちょっと動いては止まり、また動いては止まりを繰り返し、やっと小田原に到着。乗り換え時間はなんと1分!

「めぐちゃん、どないしよう。母親講座に遅れてしまう」

「よし、僕が先に行って、新幹線止めておくから!」

全力で駆け出すめぐちゃん。小田原に停車する「ひかり号」は2時間に一本しかありません。

「神様、乗っけてください!」私も祈りながらコンコースを猛ダッシュ。新幹線の自動改札は扉が開放され、駅員さんが三塁コーチャーのように腕をぐるぐる回して、「走ってください!」と声を張り上げています。

発車ベルが鳴り響く中、エスカレーターを駆け上がると、目に飛び込んできたのは、7号車のドアに左足を入れ、右足をホームに置いて踏ん張り、両手でドアを押さえているめぐちゃんの姿。

「ほんまに止めてた!」

他の乗客と一緒に車内になだれ込みました。心臓バクバク、膝ガクガク。ハアハア息をしている私にめぐちゃんは、「『こんなことがあるから一緒に行ってやらんとね』って、神様が僕に言わはったよ」とニッコリ。

無事に乗れたことよりも、めぐちゃんの素直な言葉に感激して、思わず涙がポロリ。今までめぐちゃんがやらかしたことをチャラにしてあげたくなるくらい、心が震えました。

岡山の母親講座でも、彼がたすけてくれました。お話の最中に、音声が出なくなるトラブルが発生。現場担当者が機器を操作するのですが、上手くいきません。すると、めぐちゃんはその原因を素早く見抜き、スピーカーの配線コードをささっと取り換え、あっという間に応急処置を施したのです。

舞台の袖でVサインをする笑顔のめぐちゃん。プロのミュージシャンを目指していた彼は、音響機器にとても詳しく、マイクやスピーカーの配線もお茶の子さいさい。電機メーカー勤務なので、IT機器もお手の物。

私が講師を務める母親講座は、ノートパソコンやプロジェクターを使い、お産の実演では胎児心拍や産声の音声を取り入れます。彼の技術とキャリアに支えられているのです。

母親講座になくてはならないめぐちゃん。神様はそのために、私たちを夫婦にしたようにも思えてきます。心から感謝していますよ。

しかし!
トラブルを解決した帰りの車中で、彼が言ってのけた一言。

「僕も頑張ったから、キーボード買ってもいいかな?」

「アホたれ~!」口元まで出かかって飲み込みました。買ってあげましたよ。

届いた最新キーボードを前に、狂喜乱舞するめぐちゃん。今年で結婚20年。これからも「ふうふう」言いながら、〝リアル夫婦(めおと)漫才〟の関係は続くのでした。

 


 

多様性を認め合う

 

人々が同じ場所に集まり、集団で何かを成し遂げる経験は、私たちの成長にとって欠かせないものです。しかし、集団としてのまとまりが強調され過ぎると、皆が同じであることが当然だという〝同調圧力〟が働くことがあるので注意が必要です。

そうした集団においては、一人ひとりの個性が尊重されず、独自の考え方や行動を示す個人が攻撃や排除の対象となり、それがいじめやハラスメントにつながっていきます。

神様のお言葉に、

「人を毀(こぼ)ったり悪く言うてはどうもならん。人を毀って、何ぼ道を神が付けても、毀つから道を無いようにするのやで」(「おさしづ」M23・26)

とあります。
「毀つ」とは、「壊す」という意味の古い表現ですが、ここでは人の人格を傷つけたり、排除するといった意味も含まれるでしょう。

また、

「蔭で言う事は十代罪と言う。蔭で言うならその者直ぐに言うてやれ」(「おさしづ」M24・129)

「ぼそ/\話はろくな事や無いと思え。誰彼言うやない。そのまゝ直ぐに諭してくれ。こそ/\話は罪を拵える台とも諭し置こう」(「おさしづ」M26126)

ともお示しくださいます。

集団の中には、自分と考えが合わなかったり、疑問に思うような言動を繰り返したりする人もいます。しかし、それをいじめやハラスメントの理由として認めるわけにはいきません。相手に対して疑問に思うことがあれば、そのことを素直に伝えればいいのであって、その人を除け者にしたり陰で悪口を言ったりしても、誰も得をしないでしょう。

誰かに対してある印象を持つと、その印象に当てはまる言動ばかりが目につくようになるものです。私たちはそうやって、「あの人は、やっぱりそういう人だ」と強く思い込んでしまうのです。しかし、それはあくまでその人の一部分であって、日々の生活の中では、こちらの思い込みを覆すような姿も必ずあるはずです。

「この人は、こんな人だ」と決めつけたくなった時には、「この人なりのもっともな理由があるのかもしれない」と、少し間を置いて考えてみてはいかがでしょう。すると、その人に対する印象が変わり、関わり方も徐々に変化していくはずです。時間はかかるかもしれませんが、そうしてそれぞれの多様性を認め合うことが、陽気ぐらしにつながる道ではないかと思うのです。

(終)

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