第1339回2025年6月20日配信
タイでのあざやかなご守護
おさづけによりご守護頂いたチューンさん。熱心に参拝するようになったある日、84歳の母親が大けがを負った。
タイでのあざやかなご守護
タイ在住 野口 信也
タイ国の首都バンコクの正式名称は、「天使の都」という意味の「クルンテープ」から始まる、タイ語で約100文字を超える、世界で最も長い首都名で、ギネスブックにも記録されています。
また、タイは仏教の国としてよく知られていますが、この首都名はただの都市の呼称ではなく、日々タイの仏教徒が敬う神々の名前や、教えに基づく平穏社会への理想などが反映されており、タイの仏教信仰や文化を象徴するものでもあります。
さて、そうした仏教の国タイではありますが、基本的には宗教はすべて良いものである、という思いを持つ方が多く、天理教の信仰をされているタイ人の方々も、天理教は排他的ではなく、他の宗教にも寛容で、仏教の教えに似ているといって信仰される方も多いのです。中には天理教のお話を聞いて、「これは本物の教えだ」と感じて、熱心に信仰する方もおられます。
今日ご紹介するチューンさんは、宗教には全く興味を示さなかった友人の夫が、天理教と出合い、いそいそと天理教の集まりに参加する姿を見て、この宗教は何か違う、と興味を持ったそうです。
そんなある日、チューンさんは体調を崩し、友人に誘われるまま、少し興味を持ち始めていた天理教のタイ出張所へ行きました。そして、夕づとめに参拝し、おさづけを取り次いでもらったところ、とても元気になり、驚くとともに大変喜んでおられました。その後、夕づとめや月次祭に顔を出すようになり、積極的におてふりや鳴物を学び始めました。
このチューンさんは小さな料理屋を営んでおられましたが、生活の苦しい方には大盛で安く料理を提供し、一方で人を押しのけてくるような図々しい人には、「あんたに食べさすご飯はもうないよ!」と断ることもあるといった、やさしくて強い肝っ玉母さんという感じの方です。
ある日、お店に全くお客さんが来なかったので、教祖に「お客さんが来てくれますように」とお願いをしました。するとたちまちお店がいっぱいになりました。また、やはりお客さんが全然来ない別の日、遠慮がちに教祖にお願いしました。すると、また急に来客でいっぱいになり、嬉しさのあまり天理教を紹介してくれた友人にこのことを話しました。
すると冗談交じりに、「自分のことばかりお願いして、教祖の手を煩わせてはいけないよ」と言われたとのこと。
そして三回目、ここ何日かお客さんが来ていませんでした。そこで、今日お客さんが来たら、今後は毎月26日は店を閉めて、出張所の遥拝式に参拝する。そう心に決めて教祖にお願いをしました。果たして、食材がなくなるほどお客さんが来たということです。
そんなある日、大変働き者の、チューンさんの84歳になる母親が、ドラム缶を持ち上げようとして、腰の激痛とともに倒れて病院へ。医師から、「腰椎の四カ所で圧迫骨折を起こしていますが、高齢のため手術もできません」と入院を断られ、自宅で寝たきりになったと連絡がありました。家庭の事情で母親と少し距離を取っていたチューンさんですが、やはり親子です。なんとかたすけてもらいたいと、すぐに連絡をくれました。
私はすぐに自宅へ駆けつけ、精一杯おさづけを取り次ぎました。高齢な上にこれほどの症状なので、どうなるかと不安な思いでいっぱいでしたが、チューンさんはこの時も自身の経験から「三日で治るから」と、信じ切った様子でお母さんに言って聞かせていました。チューンさんの兄弟たちも、大好きな母親のために車で私を送り迎えして応援してくれました。
私はお母さんの症状を考えて、何かチューンさんに神様との約束をしてもらいたいと思い、迷いながらも「チューンさん、今日から一週間は毎日参拝を…」と言いかけました。するとチューンさんは、「はい、今日から一カ月間、毎日出張所へ参拝に行きます」と、自分から進んで決心してくれました。
おさづけを取り次ぎ始めて三日目、腰の痛みは相変わらずで、座ることもできず、身動きができないためか便が全く出ておらず、その症状のお願いも加わりました。四日目、「便は出ましたか?」と聞くと、「出ません、苦しいです」との返事です。せめて便だけでも出るようにと、おさづけを取り次ぎましたが、まだまだ改善の兆しはありません。
ところが五日目、お母さんにお会いすると、元気な声で「先生、出ました!どばっ、どばっ、どばっ、と三回も出て、それも座って用を足すことができました」と。
私も驚きと嬉しさで、「そうですか、どばっと三回も出ましたか」「はい、どばっと全部出ました」「全部ですか、いやー良かった」。嬉しさのあまり無我夢中でこんな会話をしてしまいましたが、お互いふと我に返り、ばつが悪いやら、おかしいやらで、朗らかな笑いが起こりました。その後、お母さんは歩けるまでにご守護頂かれました。
親神様、教祖に素直にもたれ切り、人間思案を離れ、自分のなすべきことを精一杯努めれば、間違いなくお受け取り頂けるということを、チューンさん家族にあらためて気づかせてもらいました。
その後、お二人のわだかまりも薄らいだ様子で、チューンさんもお母さんも、天理教講座という、信者さん宅でお話をする会に未信者の方々を誘って参加するなど、親子仲良く熱心に信仰を続けておられます。
かなの教え
この教えは、「かなの教え」とも言われるように、教祖は私たちが得心しやすいように平易な表現でこの世の真実をお示し下さいます。それはしばしば、語呂合わせのような形で表されることもあります。
教祖は、病だすけのための金平糖の御供をお渡し下さる時、
「ここは、人間の元々の親里や。そうやから砂糖の御供を渡すのやで」
と、仰せられました。そして、
「一ぷくは、一寸の理。中に三粒あるのは、一寸身に付く理。二ふくは、六くに守る理。三ふくは、身に付いて苦がなくなる理。五ふくは、理を吹く理。三、五、十五となるから、十分理を吹く理。七ふくは、何んにも言うことない理。三、七、二十一となるから、たっぷり治まる理。九ふくは、苦がなくなる理。三、九、二十七となるから、たっぷり何んにも言うことない理」
と、お聞かせ下さいました。(教祖伝逸話篇60「金平糖の御供」)
また、親神様のご守護にあふれる日々の喜びを、このように表現されました。
「不足に思う日はない。皆、吉い日やで。世界では、縁談や棟上げなどには日を選ぶが、皆の心の勇む日が、一番吉い日やで」。
一日 はじまる
二日 たっぷり
三日 身につく
四日 仕合わせようなる
五日 りをふく
六日 六だいおさまる
七日 何んにも言うことない
八日 八方ひろがる
九日 苦がなくなる
十日 十ぶん
十一日 十ぶんはじまる
十二日 十ぶんたっぷり
十三日 十ぶん身につく
二十日 十ぶんたっぷりたっぷり
二十一日 十ぶんたっぷりはじまる
三十日 十ぶんたっぷりたっぷりたっぷり
三十日は一月、十二カ月は一年、一年中一日も悪い日はない。
(教祖伝逸話篇173「皆、吉い日やで」)
さて、私たちが、日々朝夕に唱える「みかぐらうた」は、一下り目からは、各下りともいずれも十首ずつの数え歌からなっています。
教祖は、「正月、一つや、二つやと、子供が羽根をつくようなものや」と。まさに「おつとめ」は、教祖自らが可愛い子供たちのためにお教え下されたものであり、陽気ぐらしの喜びに満ちあふれています。
(終)