天理教の時間

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第1376回

なぜ、ごみを拾うのか

大谷翔平選手やサッカーの日本人サポーターのごみ拾いが世界で話題に。その誠実な姿は徐々に広がりを見せている。

なぜ、ごみを拾うのか

東京都在住  松村 登美和

 

今月は野球のWBC・ワールドベースボールクラシックが開催されます。日本代表チームは、36日から10日まで、東京ドームで第一次ラウンドを戦い、そこを勝ち抜くと、アメリカに試合会場を移して、準々決勝、準決勝、決勝と試合が行われます。

前回大会は2023年の開催でしたが、どの試合も手に汗握る展開で、最後は決勝で、大谷翔平投手がアメリカに投げ勝つ感動的なラストシーンで幕を閉じました。3年前の大会は私も連日テレビにくぎ付けで、実に楽しい時間を過ごしました。

その前回大会は、日本チームの活躍が連日ニュースを賑わせましたが、その中で、野球以外のところで採り上げられた出来事もありました。

それは日本チームのベンチの綺麗さについてです。アメリカのある野球チームの監督が、SNSに決勝戦の試合中の日本ベンチの画像を投稿し、「日本のダッグアウトの綺麗さに驚く時間を取ってもいいか?」とつぶやきました。

すると、そのつぶやきに対して多くの人が賛同のコメントを返しました。なぜなら、写真に写ったベンチ内がきちんと整頓されていて、地面にはゴミ一つ落ちていなかったからです。

アメリカでは、試合中に選手がヒマワリの種の殻を地面に吐き捨てたりするのは普通のこと。かつて大リーグに在籍した日本のあるプロ野球選手によると、飲み終えたペットボトルや、食べ終えたお菓子の袋をベンチに捨てるのは通常の風景で、彼の地では「掃除する人の仕事がなくなったらどうするんだ」という空気感なのだそうです。

その日本人選手は、「日本にいる時は、落ちているごみは拾ってごみ箱に捨ててましたけど、そのように言われると、下に捨ててもいいか、という気持ちになってしまいましたね」とテレビで話していました。

また、今年は6月にサッカーのワールドカップも開催されます。この大会でも、日本人のごみ拾いが世界の注目を集めています。日本代表チームの選手やスタッフが、ロッカールームを綺麗に掃除、整頓したり、日本人サポーターが試合後にスタンドのごみ拾いをしたりする風景が恒例となっています。カタールで行われた前回4年前の大会では、国際サッカー連盟の大会組織委員会が日本のサポーターを表彰しました。

表彰式では、「自発的に動いていたことに感銘を受けた」「モロッコやチュニジアのサポーターが真似をするなど、すでに他国のモデルになっている。カタールや他の国にも広めたい」との挨拶があったそうです。

日本人サポーターの行いが良い手本となり、他国の人が真似をし始めている。その姿を自分の国や、他の国にも広めたい、と話してくれたのです。

大谷翔平選手のごみ拾いも有名です。試合中、グラウンドに落ちているごみをさりげなくポケットに入れる様子が、しばしば見られます。また、大谷選手の元チームメートで、前回WBCの最後の打席で大谷選手と対決したアメリカ代表の主将トラウト選手が、大谷選手と同じようにグラウンドでごみを拾う姿も、YouTubeで見ることが出来ます。

このごみ拾いの輪が広がる話を聞くと、天理教の神様、天理王命様のあるお言葉が頭に浮かびます。

「一名一人の心に誠一つの理があれば、内々十分睦まじいという一つの理が治まるという」。

少し難しい言葉使いですが、「誰か一人が他人や周囲を思いやる、嘘偽りのない誠実な心を持っていれば、いずれ家庭でも職場でも、内々全体が睦まじく治まっていく」という意味です。

なぜかと言うと、誠実な姿は、少しずつでも必ず人に伝染していくからです。一人、また一人と誠実な心が伝わっていき、いずれ全体が優しい雰囲気に包まれていく。天理教では、そう教えられています。その証拠の一つが、大谷選手や、ワールドカップでのごみ拾いの広がりなのだと思います。

天理教では「誠」とは「少しでも人のよいよう、喜ぶよう、救かるように心を働かせること」と教えられています。

ですから私たちは、「ごみを拾うことで、掃除をする人の仕事を奪ってしまう」とは考えず、「ごみを拾うことで掃除をする人の手間が省けて、その人がたすかる」あるいは、「その場所が綺麗になって、みんなが気持ちよくなる」ということを考え、行動に移しているのです。

世の中には、誠の心が広がることと逆の現象、すなわち周囲への思いやりを欠いた行いや、我が身勝手な考えが広まってしまうこともあります。たとえば、以前は落ちているごみを当たり前に拾っていたのが、捨てて当たり前の風潮の中にいると、それでいいんだ、と思い始めてしまうという状況です。

さて、人に誠実な姿を伝染させる人間になるか、それとも、人を不誠実に誘導してしまう人間になるか。皆さんは、どちらの道を選びますか?

今回も、WBCとサッカーワールドカップを、お互い気持ちよく楽しみましょう。

 


 

「だけど有難い」

 

最近読んだ雑誌のなかに、面白い話がありました。

高校生のころ、数学が苦手だった。あるとき、数学の教師が側へやって来て、こう言った。「おまえは数学が全然だめだな。だけど心配ない。おまえのその笑顔とサービス精神があれば、きっと生きていける」。それを聞いて「ああ、そうなんだ。数学はだめだけど大丈夫なんだ」と思った。

またあるとき、父親から「おまえは働き者か、怠け者か」と尋ねられた。普段は物を言わない父が、そんなことを聞いてきたので、「怠け者」と答えたらおそらく殴られるだろうと思って、「働き者です」と答えた。すると父は「よし。頭が悪くても、真面目に働けば食べていける」と言った。そう言われて、「頭が悪くても大丈夫なんだ」と思った。

大学に入ったけれど中退した。「これで一流企業には就職できないな」と、なんだか寂しい気持ちになった。それを紛らわすために競馬場へ行った。周りを見たら寂しい人ばかりだった。そこで思った。「良い会社へ就職できなくても、寂しくても大丈夫なんだ」。馬券は外れたけれど、幸せを感じた。

変な話ですが、何か妙に面白いなと私は思いました。それはなぜかと言うと、「数学はできない。だけど大丈夫なんだ」「頭が悪くても大丈夫なんだ」「寂しくても大丈夫なんだ」。これらすべて、「思い直す」ということをしているんですね。人間は思い直すことができるのです。

河原町の初代会長に、次のような逸話があります。鍛冶屋をしているころ、転んでコブができるほど額を打って、こう言った。

 「ああ、痛い痛い、有難い」

それを見ていた人が尋ねました。

 「あんた、何が有難いねん」

それに対して、初代はこう答えました。

「いや、痛いと感じさせてもらえるのが有難いんや」

信仰していると痛くない、そんなはずはありません。痛いのですが、有難い。これは思い直しているのです。私は、それが値打ちだと思うのです。

痛いとか、つらいとか、悲しいとか、苦しいとか、信仰していたら感じない。そんなはずはないのです。やっぱり痛いときは痛い、つらいときはつらい、悲しいときは悲しいのです。しかし、初代会長をはじめ、お道を信仰した人たちは、「だけど有難い」―こう考えたのだと思うのです。

何があっても「だけど有難い」。この考え方が大事だと思うのです。うれしいことがあれば、誰だってうれしいのです。幸せなことがあれば、誰だって幸せなのです。つらい、苦しい、痛い、だけど有難い。何が有難いのか。そう言ってから、考えたらいいではありませんか。きっと浮かんでくると思います。おそらく、初代会長も「ああ、痛い痛い」と言っているときは痛かったのです。「ああ、痛い痛い、有難い」「何が有難いんや」と聞かれて、たぶん浮かんだことを言っているのだと思います。

それでは、そういうふうに「痛い痛い、有難い」「苦しいけれど有難い」「つらいけれど有難い」と、「思い直し」をしていけばどうなるのか。運命が変わるのです。初代会長がそうであったように、運命が変わる。「そんなこと言っても騙されないぞ」と思う人もいるかもしれませんが、心配ありません。なぜなら、元手は要らないからです。私の話を聞いて、やってみようと思って、やって損をする人はいないのです。

私たちの先輩は「つらいけれど有難い」「苦しいけれど有難い」―そう言って何が有難いのか、そこに神様の思召を求める思案をして、「本当に有難いな」と芯から思えるようになり、お道を通ってますます結構になったという人たちなのです。そんな人たちがいなかったら、この教会もないのです。それが嘘なら、この教会は建たないのです。

人生にはいろんなことがあります。時には、泣くに泣けないこともあるかもしれません。しかし、それは決して罰が当たっているのではないのです。親神様の「どこまでもたすけてやりたい」「陽気ぐらしを味わわせてやりたい」との親心から、お見せいただいているのです。ですから、何が有難いのかを考えてみれば、必ずその親心に突き当たります。先輩方を見習って、私たちもしっかり「だけど有難い」という心の持ち方、歩み方をさせていただきたいと思います。

(終)

次回の
更新予定

第1377回2026年3月13日配信

慎みの心

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山本 達則

文:山本 達則

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