おやのことば 10月25日

日没時間が早くなり、すっかり秋らしくなってきました。

秋は郷愁を誘う季節です。夕暮れの空を見上げて、トンボの飛び交う姿を眺めていると、子供のころの記憶や懐かしい思い出が、ふとした瞬間に蘇ってきます。

夕焼けの色が濃くなると、いつも思い出すのは、中学校に入学して運動部に入り、初めて郊外へ出て長距離走の練習をしたときのことです。同級生を含め、ほかの部員はとっくに学校へ帰ってきているのに、私だけ遅れてしまい、出発地点に戻ったときには、もう辺りは暗くなりかけていました。

「自分には向いていないのかな……」と諦めかけましたが、いろいろな人に励まされて3年間練習を続け、多くの思い出をつくることができました。

「楽しみの中に、一つ苦しみとも言うやろ。又一つ、苦しみの内に、楽しみの一つの種とも言う」

何かを成し遂げようと思うと、必ずつらいことや大変なことに直面します。しかし、その困難な状況を乗り越えていくことが、のちの”喜びの種”になるのです。このお言葉は、普請にかかる際に伺った「おさしづ」ですが、人生のさまざまな局面においても私たちを励ましてくれます。

いまが「つらい」と感じるときには、思い起こしてください。「苦しみの内に、楽しみの一つの種」があるということを――。(岡)

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