おやのことば 3月15日

何年か前、若い人たちと一緒に十三峠越えをしたときのことです。山頂を目指している間は良い天気だったのですが、奈良方面へ下り始めた途端に大雨になりました。

雨だけなら傘を差せばいい。でも、そのうち強い横風が加わって嵐のようになり、100人ほどの参加者は全員ずぶ濡れです。

頭のてっぺんから爪先まで濡れたまま歩き続けましたが、天候が回復する兆しはありません。次の休憩地点で続行を断念し、電車で帰路に就きました。

「もう十分と思うた処が十分成るものやない。又半端と思うても成る事もある。どうやこうやと人間心で分からせん」

下見のために予定のコースを何度も往復し、準備を重ねてきた人たちの気持ちを考えると、結果は残念です。

しかし、駅前に集合した参加者の顔は一様に明るく、現在の状況をそれなりに楽しんでいるように見えました。心を親神様のほうへ向けていれば、どんな結果にも喜びを見いだすことはできるのです。

その後も毎年、十三峠越えは続いていますが、日程が予定通りに進むことや天候に恵まれることよりも、参加した人々に喜びを感じてもらうことを、いつも願い、祈っています。

目に見える結果だけが人生のすべてではない。何かにつけて利潤や効率を重視する社会の中で、忘れてしまいがちな大切なことを教えてもらった雨でした。(岡)

ページの先頭へ